手塚治虫生誕90周年記念事業

PARCO PRODUCE 2019

奇子AYAKO

手塚治虫が奇子に託したものとは――?  東京公演2019年7月19日(金)〜28日(日)紀伊国屋ホール 水戸公演(プレビュー公演)2019年7月14日・15日(月・祝) 水戸美術館ACM劇場 大阪公演2019年8月3日(土)・4日(日)サンケイホールブリーゼ

INTRODUCTION

手塚治虫による“生命賛歌”
生と性の物語『奇子』2019年初夏、初の舞台化!

2019年初夏、パルコは手塚治虫生誕90周年記念事業の一環として、手塚治虫の作品群のなかでもとりわけ特異な位置付けをなす「奇子」の初舞台化に挑みます。
手塚治虫の漫画作品「奇子」が生まれたのは、戦後復興を遂げ高度成長期をひた走った日本社会が大きな曲がり角に差し掛かった 1970 年代前半。『ビッグコミック』(小学館)で 1972 年から 1973 年にかけて連載されました。

敗戦直後の東北の農村地帯で、大地主一族の遺産相続をめぐる骨肉の争いと恐ろしい欲望の果てにこの世に産み落とされた、奇子。一族の体面のために土蔵の地下室に幽閉され、下界から隔絶して育てられた、言わば“純粋培養”の奇子は、やがて性に対して奔放な美しい成人女性として世に放たれていくことになる…。

「奇子」は、少女監禁や近親相姦などセンセーショナルな描写も巧みに取り入れ、人間の心の闇や犯罪、グロテスクで過激な表現などを描く、手塚治虫の「黒い」作品群の中でも、代表作ともいえる作品です。

上演台本・演出を務めるのは中屋敷法仁。研ぎ澄まされた演劇感覚と、劇空間を効果的に使い手腕に定評のある中屋敷。どう「奇子」を表現するのか。血族という逃れることのできない、鎖のような「絆」で縛られた一族を、より鮮烈で演劇的に描き出していきます。

主演を務めるのは、A.B.C-Z のグループでの活動のほか、舞台「シェイクスピア物語~真実の愛~」をはじめ精悍な佇まいで俳優としても注目を集める五関晃一。単独での主演は、今作が初となります。
共演は、三津谷亮、味方良介、駒井蓮、深谷由梨香、松本妃代、相原雪月花といったフレッシュな感性と個性豊かな面々、さらに、独自の存在感で深みを増す中村まこと、硬軟自在の演技力が魅力の梶原善が集結いたしました。
実力派揃いの魅力的なキャスト陣が、人間の隠された欲望、誇り、絶望、憎しみが渦巻く「奇子」の世界を体現します。どうぞ、ご期待ください!

【上演台本・演出】
中屋敷 法仁 コメント

『奇子』…逃れられない血の「絆」

「絆」は尊いものである。「絆」を大切にすべきである。

誰しもが当たり前のように「絆」の必要性を説く。
人間関係の希薄化が騒がれる現代では、それも当然なのだろう。
人々は、もはや幻想と化した、誰かとの濃密な「絆」を求めている。

しかし、決して忘れてはならない。
そもそも人との「絆」とは、互いの自由を冒す、危険なものではなかったか。
逃れることの出来ない、恐ろしい呪縛ではなかったか。
そして、その忌々しい「絆」は、目にははっきりと見えないだけで、
現代にも空気のように漂い、我々を静かに縛り続けている。

手塚治虫「奇子」は、そんな絆のおぞましさが痛々しいまでに描かれている。
青森の名家・天外一族が犯してきた罪が、奇子という命として誕生する。
そこで初めて、劇中人物たちは気がつく。
互いを侮り、軽蔑しているが、結局は皆、
血族という「絆」で縛られた同じ穴のむじなであるということに。
そして、その「絆」は鎖のように心身に深く食い込み、
自分たちを土地と時代に縛り付けているということに。

東京オリンピック開幕も近い。
日本人であること、日本人同士で繋がり合う素晴らしさが、さらに叫ばれていくだろう。
安易な「絆」を求める時代に、手塚治虫が昭和に生み出した、愛おしくもおぞましい「絆」の物語を
生身の俳優たちの身体で蘇らせたい。
我々が、心の奥底の座敷牢に閉じ込めてしまった数々の罪科を
血の「絆」をたぐり寄せ、この地上に引きずり出したいのだ。

【上演台本・演出】中屋敷法仁 プロフィール

劇作家・演出家。1984年生まれ、青森県出身。高校在学中に発表した『贋作マクベス』にて、第49回全国高等学校演劇大会・最優秀創作脚本賞を受賞。青山学院大学在学中に「柿喰う客」を旗揚げ、06年に劇団化。旗揚げ以降、全ての作品の作・演出を手掛ける。劇団公演では本公演の他に“こどもと観る演劇プロジェクト”や女優のみによるシェイクスピアの上演企画“女体シェイクスピア”なども手掛ける一方、近年では、外部プロデュース作品も多数演出。劇団公演以外の主な作品にパルコ・プロデュース『サクラパパオー』『露出狂』、『黒子のバスケ』、『文豪ストレイドッグス』、『赤鬼』など。

※手塚治虫の「塚」と手塚プロダクションの「塚」は旧字体ですが、環境によっては表示できない可能性があるため、このページでは「塚」(新字体)としています。

STORY

青森県で500年の歴史を誇る大地主・天外一族。村では絶大な富と権力を誇っていたが、終戦後の農地改正法により、その勢いは静かに衰えつつあった。
太平洋戦争から復員した仁朗が帰ると、家には奇子という妹が生まれていた。それは父・作右衛門と兄嫁・すえの間に生まれた私生児だった。兄の市郎が、遺産ほしさに妻であるすえを差し出したというのだ。

「うちは異常な家だ!

ってるんだ!」

そんな仁朗も、しかし、GHQのスパイとして仲間を売って生き延びて来た。組織の命令により、さらなる陰謀に加担して行く仁朗。仁朗の犯した罪、一族の犯した罪=奇子が複雑に絡み合い、やがて奇子は土蔵の地下に閉じ込められ、死んだことにされる。
それから十一年後、末弟・伺朗は強く反発している。

「うちの家系はまるで汚物溜だ。
犬か猫みてぇに混ざり合って、
そのつど、権力でもみ消したんだ…」

さらに十一年後、地下で育てられ続けてきた奇子は、伺朗により地上へと出される。
隠蔽した罪や過去が、次々に暴かれ、やがて一族を滅ぼすことになる。
地方旧家の愛欲、戦後歴史の闇を描く因果の物語。

登場人物

  • 五関晃一(A.B.C-Z)

    天外家の次男

    天外仁朗

    [ 五関晃一(A.B.C-Z)

    天外仁朗
  • 三津谷亮

    天外家の三男

    天外伺朗

    [ 三津谷亮 ]

    天外伺朗
  • 味方良介

    刑事

    下田波奈夫

    [ 味方良介 ]

    下田波奈夫
  • 駒井蓮

    作右衛門とすえの子

    奇子

    [ 駒井蓮 ]

    奇子
  • 深谷由梨香

    市朗の妻

    天外すえ

    [ 深谷由梨香 ]

    天外すえ
  • 松本妃代

    天外家の長女

    天外志子

    [ 松本妃代 ]

    天外志子
  • 相原雪月花

    天外家に仕える女中

    お涼

    [ 相原雪月花 ]

    お涼
  • 中村まこと

    親戚の医師

    山崎

    [ 中村まこと ]

    山崎
  • 梶原善

    天外家の長男

    天外市朗

    [ 梶原善 ]

    天外市朗

CAST&STAFF

【原作】
手塚治虫
【上演台本・演出】
中屋敷法仁
【出演】
五関晃一(A.B.C-Z) 三津谷亮 味方良介 駒井蓮
    深谷由梨香 松本妃代 相原雪月花 /
中村まこと 梶原善
【スタッフ】
美術=秋山光洋 照明=高見和義 音響=中島正人 音楽=小澤時史
振付=スズキ拓朗 衣裳=四方修平 ヘアメイク=西川直子
脚本協力=内田裕基 演出助手=城野健 舞台監督=川除学 宣伝美術=榎本太郎 宣伝写真=森﨑恵美子
製作=井上肇 プロデューサー=祖父江友秀 / 伊藤達哉 / 山家かおり
制作=市瀬玉子 企画制作=パルコ ゴーチ・ブラザーズ ニベル
企画協力=手塚プロダクション 製作=パルコ

SCHEDULE&TICKETS

東京公演

2019年7月19日(金)〜28日(日) 紀伊國屋ホール

カレンダー

入場料

8,500円(全席指定・税込)

お問合せ

パルコステージ 03-3477-5858(月~土11:00~19:00 /日・祝11:00〜15:00)

チケット取扱い

<チケットぴあ>

http://w.pia.jp/t/ayako2019/

0570-02-9999(Pコード:493-738)
セブン-イレブン、チケットぴあ店舗

<ローソンチケット>

http://l-tike.com/ayako2019/

0570-00-0407(オペレーター対応/10:00~20:00)
ローソン、ミニストップ店内Loppi

<イープラス>

http://eplus.jp/ayako2019/

ファミリーマート店内 Famiポート

<キノチケオンライン>

https://www.kinokuniya.co.jp

<キノチケットカウンター>

店頭販売10:00~18:30 (新宿駅東口・紀伊國屋書店新宿本店 5F)

※未就学児のこ入場はお断いたします。※営利目的の転売禁止。
※車椅子でご来場予定のお客様は、あらかじめご観劇券(チケット)をご購入の上、座席番号をバルコステーシまでお早めにご連絡くださいませ(受付はご観劇日前日まで)。ご観劇当日、係員が車椅子スペースまでご案内いたします。また。車椅子スペースには限りがごさいますため、ご購入のお座席でご観劇いただく場合もごさいます。予めご了承くださいませ。なお、車椅子スペースの空き状況につきましては、バルコステーシにてご案内しておりますので、チケットご購入時にお問合せくださいませ。

プレビュー公演(水戸公演)

2019年7月14日(日)・15日(月・祝)

水戸芸術館 ACM劇場

大阪公演

2019年8月3日(土)・4日(日)

サンケイホールブリーゼ