1980年に発表された村上龍・原作の「コインロッカー・ベイビーズ」。
発表当時は、衝撃的なセンセーショナルとともに、近未来のSF小説のようにもとらえられていましたが、今あらためて読み返してみると、今日の若者の「魂の叫び」のように感じられます。コインロッカー・ベイビーズとは、キクとハシ二人のことを指し、彼らを主軸に現代を痛切に描写しています。
密閉されたコインロッカーの中。そこで何も出来ない、何をしても無駄に終わってしまうという、無力感。それは葛藤や屈服、反抗、逃走・・・・そうした姿で今日の若者を表わす、激しくもせつない物語。
コインロッカーに捨てられた二人の少年、ハシとキク。
現代を生きる若者の代弁者ともいえる二人を演じるのはA.B.C-Zの橋本良亮と河合郁人。
昆夏美、シルビア・グラブ、真田佑馬、芋洗坂係長、そしてROLLYの出演が決定!!
魅力あふれる実力派が勢ぞろい、個性溢れる登場人物たちを演じます!
生きる音を求め、失敗を繰り返す。あらがえない壁を壊すこと・・・東京の破壊だったり、妊婦を殺そうとして音を求めたりもしますが、殺害や破壊では求めるものが手に入らないことを知ります。生きることは、自分たちを支配する、絶対的強者を破壊し、心臓の音を探し当てることで、二人はコインロッカーから解放され、初めて生を受けます。このメッセージを、舞台という「ライブ」の空間でその息吹を観客とともに共有したいと思います。
2016年6月、赤坂ACTシアターが若者たちのエネルギーで熱くなります。どうぞご期待ください!
コインロッカーに捨てられた子供たち、その中でかろうじて生き残った二人の赤ちゃん。キクとハシ。
頭よりも身体を先に動かすキクと、その影に隠れる大人しいハシ。
二人は、物心つく以前、暴力性を制御できない問題児だったが、ある精神科の研究者が心臓の鼓動をもとにしたリズム音によって治療を行い、それを抑えることに成功。そのおかげで彼らは社会に適応できるようになる。
しかし、ハシはかつて聞いたその音のことを思い出し、それが自分の母親と結びついていると考え、母親を探しに東京へと旅立って行く。その後、東京で様々な体験をした後、歌手としてデビュー。その独特の歌唱法によりカリスマ的な人気を獲得してゆく。
一方、陸上の棒高跳びで活躍していたキクは、家出したハシを追って東京へ母親とともに出発。母親の死後、彼はひとりぼっちになるが、モデルとして活躍する不思議な少女アネモネと知り合う。
そして二人は世界を破壊するため、謎の物質「ダチュラ」を探す約束をするのだが・・・・・・。
1952年長崎県生まれ。1976年『限りなく透明に近いブルー』で
第75回芥川賞受賞。『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、
「半島を出よ」では野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。『トパーズ』
『KYOKO』は映画化され、監督も務めた。最新作は『オールドテロリスト』。
メールマガジン『JMM』を主宰、『カンブリア宮殿』(テレビ東京)にメインインタビュアーとして出演。
1962年、千葉県松戸市に生まれる。
1988年、早稲田大学第二文学部卒業後、宝塚歌劇団に入団。1993年、天海祐希主演「扉のこちら」で脚本・演出家デビュー。
翌年、同作品にて宝塚ロンドン公演に参加。1997年、文化庁在外派遣員としてニューヨークに留学。2004年、再び文化庁在外派遣員としてパリに留学。
脚本・演出作品は宝塚歌劇以外を含めて二十数作。
受賞歴・2002年、日本演劇協会協会賞。2004年、文化庁芸術祭優秀賞。