数々の賞を受賞してきたジョン・パトリック・シャンリィによって1983年に書かれた『ダニーと紺碧の海』は、大都会の片隅で生きる男女二人のエネルギーと哀切に満ちた、二人芝居による会話劇です。
社会での生きづらさから、有り余るエネルギーをどこで発散したらいいかわからず、暴発気味の一人の男と、壊れた家庭環境の中で疲れてしまった女が出会い、惹かれあう物語。たった二人の話にもかかわらず、そこにはエネルギーと不安と希望が入り混じり、あふれ出て、現代の都会で生きる人にとっても胸にしみいるストーリーとなっています。
多くの若手演出家が登場する中、群を抜いた才能を見せる藤田俊太郎が演出。細やかな感性で繊密に創られる舞台は、他の追随を許しません。
出演する松岡昌宏は、コメディからシリアス、時代劇から現代劇まで、演技者としても多彩な実力を見せ、演技力にも定評のある俳優の一人。また、土井ケイトはさいたまネクストシアターで故・蜷川幸雄氏からの信頼も厚かった新進気鋭の女優です。
80年代に書かれたジョン・パトリック・シャンリィの瑞々しい作品は、藤田の繊細な演出と、松岡・土井の高い演技力によって、現代の物語として開花することでしょう。どうぞ、お見逃しなく!
ニューヨーク ブロンクスの深夜のバーで、二人の男女が偶然出会う。
男の名はダニー。
繊細さゆえに傷つきやすく、心の痛みを暴力によって吐き出すため、
他人となかなか理解し合えない孤独な男だ。
女の名はロバータといい、日々の生活に疲れ、また過去に犯した罪を悔やんで、
自分は幸せになれないと心を閉ざしている。
お互いを警戒しながらも、徐々にぎこちない会話を始める二人。
そして互いに共通するものを感じ取ったのか、二人は徐々に近づいていく。
やがてお互いのエネルギーをぶつけ合い、傷をさらけ出し、心の闇を開放していく・・・