ダニーと紺碧の海

松岡昌宏が4年ぶりに舞台に出演!今、演劇界でその演出力が最も注目される藤田俊太郎と松岡の初タッグに期待大!誰もが心打たれる二人芝居をお観逃しなく!

2017年5月13日(土)〜21日(日) 紀伊国屋ホール/2017年5月27日(土)〜28日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

INTRODUCTION イントロダクション

松岡昌宏が4年ぶりに舞台に出演!今最も注目される実力派演出家 藤田俊太郎とのタッグで魅せる誰もが心打たれる、二人芝居。

数々の賞を受賞してきたジョン・パトリック・シャンリィによって1983年に書かれた『ダニーと紺碧の海』は、大都会の片隅で生きる男女二人のエネルギーと哀切に満ちた、二人芝居による会話劇です。

社会での生きづらさから、有り余るエネルギーをどこで発散したらいいかわからず、暴発気味の一人の男と、壊れた家庭環境の中で疲れてしまった女が出会い、惹かれあう物語。たった二人の話にもかかわらず、そこにはエネルギーと不安と希望が入り混じり、あふれ出て、現代の都会で生きる人にとっても胸にしみいるストーリーとなっています。

多くの若手演出家が登場する中、群を抜いた才能を見せる藤田俊太郎が演出。細やかな感性で繊密に創られる舞台は、他の追随を許しません。
出演する松岡昌宏は、コメディからシリアス、時代劇から現代劇まで、演技者としても多彩な実力を見せ、演技力にも定評のある俳優の一人。また、土井ケイトはさいたまネクストシアターで故・蜷川幸雄氏からの信頼も厚かった新進気鋭の女優です。
80年代に書かれたジョン・パトリック・シャンリィの瑞々しい作品は、藤田の繊細な演出と、松岡・土井の高い演技力によって、現代の物語として開花することでしょう。どうぞ、お見逃しなく!

STORY ストーリー

ニューヨーク ブロンクスの深夜のバーで、二人の男女が偶然出会う。
男の名はダニー。
繊細さゆえに傷つきやすく、心の痛みを暴力によって吐き出すため、
他人となかなか理解し合えない孤独な男だ。
女の名はロバータといい、日々の生活に疲れ、また過去に犯した罪を悔やんで、
自分は幸せになれないと心を閉ざしている。

お互いを警戒しながらも、徐々にぎこちない会話を始める二人。
そして互いに共通するものを感じ取ったのか、二人は徐々に近づいていく。
やがてお互いのエネルギーをぶつけ合い、傷をさらけ出し、心の闇を開放していく・・・

COMMENT

「ダニーと紺碧の海」演出に寄せて

ニナガワ・スタジオで俳優を志したばかりの頃、僕はジョン・パトリック・シャンリィの作品に出会いました。その物語には静かで、鮮やかで、生々しい激しさがある。
特に80年代中期にに書かれた『ダニーと紺碧の海』は、言葉の煌めきに魅せられ、何度も読みました。
ニナガワ・スタジオでは自主的に戯曲を選びエチュード作品にまとめると、蜷川さんに演技を見てもらえるので、僕がこの2人芝居を稽古したいと蜷川さんに相談すると「この話は難しいから今の藤田には無理だと思う。もっとハードルの低い戯曲を選びなさい」と、おっしゃいました。
こんな素晴らしい戯曲の言葉を、僕の身体は何ひとつ語ることができない。
それはあっけない俳優人生の終わりと、今思うと演出家としてのスタート地点でした。
2016年に改めて読んだ時、戯曲から迫ってくるのは全く古びることのない削ぎ落とされた圧倒的なリアルです。
ニューヨーク ブロンクスと思われる場所で出会ってしまった男女の一夜と夜明け。一瞬のような、もしくは永遠のような愛おしい会話。
激しく殴ることと、優しくキスすることがまるで同価値のように表現される関係性。作品から滲み出るのは、孤独と孤独が交わることによるロマンチック、ラヴソングのように紡がれていく言葉、言葉、言葉。
男ダニーが味わった深い海は、女ロバータという、うたかたのまぼろしに過ぎなかったのだろうか。
母性と海はどこにある、かたちにならない愛のかたち。帰らなきゃならないのに帰る家がないというメッセージ。それは時代を超え、閉塞感や格差、孤独や個人、生々しくぶつかることのできない現代の世界性の中でより色濃く響き、演劇にしかつくれない、繰り返される言葉の新しさを持ち続けています。
この芝居を演出することは、自分自身に対する演劇人として問いに他なりません。僕は演劇を渇望しているのか。僕は世界と向き合えているのか。

2017年の帰るべき場所、歌うべき歌、世界の現在形を演劇というリアルに込めて描きたいと想っています。

藤田俊太郎

松岡昌宏 コメント

数年に一度、舞台に立たせて頂いておりまして、
今回もとても素敵なタイミングでお話をいただき、役者の幅を広げるキッカケにしたいと思っています。
更に今、最も注目されている演出家の藤田俊太郎さんとご一緒できるということで、
自分の中にはない世界観を引き出して下さるのではと、たいへん楽しみです。
刺激を頂きながらも、自分らしく楽しんでやっていきたいと思います。

松岡昌宏

CAST & STAFF キャスト & スタッフ

作=ジョン・パトリック・シャンリィ 翻訳=鈴木小百合
演出=藤田俊太郎 出演=松岡昌宏 土井ケイト