ダブリンの鐘つきカビ人間


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  製作=パルコ・リコモーション 企画=G2プロデュースによる、<パルコ・リコモーション提携公演>は、1998年、中島らも原作による第1弾作品『こどもの一生』でその幕を開けました。
瀬戸内海の孤島にストレス療法のために集まった人々が生み出してしまった空想上の殺人鬼が繰り広げる惨劇を描いたこの作品は、爆笑の渦が、やがて身も凍る恐怖に変わる《ギャグ・ホラー》というジャンルを開拓しました。(えんぶチャート'98 第2位) 
そして2000年秋、ギャグ・ホラー作品の第2弾として、若手最注目作家・後藤ひろひとを迎えた『人間風車』は、笑いと恐怖という要素に、さらに哀しいラブロマンスを加え、《童話ホラー》というジャンルをも開拓し、前作に勝るとも劣らない観客の支持を得ました。(えんぶチャート2000 第2位、ぴあテン演劇部門 第11位)
『人間風車』は心やさしい売れない童話作家が、親友に裏切られ、恋人に誤解され、世間から見放された憎悪の童話が現実と化してしまう物語でした。
 いずれの作品にも共通するのは、実力ある作家による完成度の高いエンターテイメント作品であること、そして、個性あふれる実力派俳優による演技バトルが笑いの渦を、底知れぬ恐怖へと導くということです。
企画・演出を手がけるのはG2プロデュースのプロデューサーであり、人気劇団「MOTHER」の演出家でもあるヒットメーカー・G2(ジーツー)です。


 2002年秋、パルコ・リコモーション提携公演が満を持して贈る第3弾は『ダブリンの鐘つきカビ人間』。
前回作品『人間風車』で、童話がもつ「夢」と「恐怖」の表裏一体性をまざまざと見せつけた後藤ひろひとによる、美しくも哀しく、そして残酷な童話ラブロマンスです。
今回は、爆笑の渦が、戦慄ではなく、感動のすすり泣きへと変わります!


 舞台となるのは、中世のアイルランドを思わせる不思議な土地。そこに症状は病人によって千差万別という不思議な病が襲う。中でも世にも不幸な病に冒された二人の若い男女がいた。
泉のように美しい心と、誰も近づきたがらない醜い容姿をもった青年・カビ人間と、思っていることの反対の言葉しか喋れなくなった娘・おさえの、世にもおかしく、そして悲しいラブ・ロマンスを描いた作品です。
ケルト民話を思わせるファンタジックな世界、童話の持つ魅惑的な物語性、残酷さ、そして現代的な笑いの要素と、時代を超えて人の胸を打つ感動的なクライマックスを詰め込んだエンターテインメントの決定版です。


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本作品の舞台は、アイルランドのようでそうではない、どこかインチキな香りのする中世のとある町。そのインチキぽい不思議感こそがこの作品のキーなのです。


その世界を創造するために濃いキャラクターを持つ個性派俳優たちが集められました。
まずは、映画ドラマでもひっぱりだこ、ナイロン100℃の大倉考二。骨太な演技と圧倒的存在感で魅了する、元劇団☆新感線の橋本さとし。新進劇作家としても評判の高い、阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史。同劇団で異彩を放つ中山祐一朗。一度見たら忘れられないPiperの山内圭哉。スタジオライフの悪魔的美少年、及川健。元プロレスラーで、アクションクラブの田尻茂一と、今人気急上昇中の小劇場の若手俳優たちが勢揃い。それを、ベテラン曲者俳優・若松武史池田成志八十田勇一が迎え撃ちます。そして今回の作家でありながらも怪優でもある後藤ひろひと。そんなコクのある役者たちが入り乱れて、不思議ワールドを作り出します。
そこに迷い込んでしまうのが、女優・水野真紀遠藤久美子。怪しげな空気は、彼女たちの美を添加することでさらに不思議感を増していきます。このアンニュイでアンバランスな感覚の世界で、不思議で美しい物語が展開し笑いと涙と感動の世界へと観客を導いていくのです。
これらの個性派俳優たちを束ねるのが演出家・G2。本来、キャラクターの濃い役者同士はその良さをうち消しがちですが、カンパニーにキャラクターの濃い役者が揃えば揃うほどその腕前を発揮するG2。すべての役者の持ち味を生かすのはもちろんのこと、それ以上にパワーアップして役者の演技を紡いでいきます。


ビジュアルスタッフは、好評だったシリーズ前作「人間風車」の美術・綿谷登、照明・黒尾芳昭に加え、今回は衣装に「くるみ割り人形」等の衣装で注目度急上昇中の有村淳を迎えました。艶やかで斬新な有村のデザインセンスが綿谷の独特の抽象美術空間と相まって、芳醇な空気を舞台に運んでくれます。毒と笑いのある舞台ながら、常に美しいビジュアルを舞台に創造するG2。今回はこのビジュアルスタッフを率いて、「ぞっとするほど美しい」ビジュアルを創るという意気込みです。


本作品の不思議世界をより一層盛り上げるのが音楽。「人間風車」の作品世界に奥行きをもたせ好評を博しました、佐藤史朗が再び担当いたします。微妙なニュアンスを表現するアコースティックなメロディーから、恐怖と戦慄のデジタル・リズムまで幅広い音楽性が今回も縦横無尽に劇空間の可能性を広げます。
そして、オリジナルタイトルチューンを作詞・作曲・歌ってくれるのが、瓜生明希葉。今年ポニーキャニオンからメジャーデビューも決定した彼女は、18才とは思えない溢れる音楽的な才能と、不思議なメロディーラインで、聞く者の心を捉えて離しません。


これらの俳優、ビジュアル、音楽が渾然一体となって、観客を笑わせ、怖がらせ、そして最後には感動の涙へと誘います。演劇とは総合芸術なのだということを今さらながらに体験いただける舞台になります。