HYMNE A L'AMOUR
美 輪 明 宏 版
愛の賛歌
〜エディット・ピアフ物語〜
作・演出・主演 美輪明宏

この世の全てを救う鍵
それは、愛のエネルギーだけです
人の心のあり方・生き方がますます問われ
心の救済・癒しが求められている現代に贈る
美輪明宏<愛>のメッセージ
人を愛するという事はこういう事なのか!
広大無辺の宇宙に匹敵するエネルギー
それは愛する心です。

 <愛> と <美> の 人 美 輪 明 宏 
 今や、5〜60代から10代の中学生、そして小学生まで老若男女を問わず幅広く人気と評価・支持を得て、舞台、音楽活動そして作家活動や、講演会など多岐に渡り活躍する美輪明宏。近年、当パルコ劇場での美輪氏の活動は、毎年恒例の音楽会<愛>をはじめ、演劇では寺山修司作『毛皮のマリー』(94・96年)、三島由紀夫作『近代能楽集〜葵上・卒塔婆小町』(96・98年)、デュマ・フィス原作『椿姫』(98年)。そして、昨年パルコ劇場をはじめ全国約20ヶ所を回り、大入りスタンディングオベーションの大絶賛を頂いたジャン・コクトー作『双頭の鷲』(97・99年)など。
そして、本年は、美輪明宏氏の演劇活動そして音楽活動が交錯し、これまで以上に <美輪・宇宙>の魅力と迫力を発揮する<美輪明宏版 愛の讃歌〜エディット・ピアフ物語〜>をいよいよ上演いたします。同公演は、20年程前ジァン・ジァンより始まり、様々な劇場で上演がなされ(近年では1996年東京芸術劇場)広く愛され続けてきた伝説的名作です。今回4年ぶり満を持して、キャストも新たにパルコ劇場初御目見えとなります。
「妖艶」「超絶技巧」「七変化の異能」「美輪宇宙」など評されるように、その繊細にして気品があり説得力のある演技と、シャンソン界随一の歌唱力・表現力で『愛の讃歌』をはじめ『ミロール』『群衆』などの歌のシーンも含めた、他には真似の出来ないゴージャスな上演、大きな<愛の宇宙>で客席を包みます。
美輪明
今を生きる日本のエディット・ピアフ美輪明宏が、    
    劇中で歌う唯一の舞台、美輪明宏版 <愛の讃歌>


波乱万丈 愛と歌に生きた世界的シャンソン歌手 エディット・ピアフ
エディット・ピアフ(1915−1963)パリ生まれ
軽業師の父に連れられ、幼児のころより、場末の街から街へと歌い歩く。貧乏生活、町の通りで流しの歌い手、最愛の一人娘の死、不遇な少女時代...。
しかし、彼女は高級クラブの経営者ルイ・ルプレにより見出され一夜にして大成功を勝ち取った。その後イヴ・モンタンや数多くの才能を発掘。そして世界的名声の光を浴びた華やかな時代と、最愛の人を飛行機事故でなくし麻薬につかり酒に溺れた苦難・挫折の時への転落。純粋な21才年下の青年の純愛により、その苦渋の時代からのカムバック。波乱万丈の彼女の人生を貫いてきたのは<愛>そして<歌>でした。


【主な登場人物】
エディット・ピアフ
● 美輪明宏
シモーヌ・ベルトー
● 富沢亜古
ピアフの妹
ルイ・ルプレ
● 山谷初男
高級クラブの経営者・ピアフを発掘
レイモン・アッソー
● 松橋登
作詞家・ピアフを一流の歌手へと教育する
マルグリット・モノー
●城月美穂
作曲家・ピアフの親友であり「愛の讃歌」等の名曲を手がける
ルイ・バリエ
● 内田勝正
ピアフのマネージャー
イヴ・モンタン
● 柄沢次郎
歌手・ピアフとの恋愛関係を通して大歌手へと成長する
マルセル・セルダン
●由地慶伍
ボクシング世界チャンピオン・ピアフとの不倫を公表する。飛行機事故により死亡、ピアフは絶望のどん底に落ちる
テオ・サラポ
●井上豪士
歌手・ピアフの最後の恋人。どん底のピアフを立ち直らせカムバックさせる。ピアフより21歳年下をものともせず結婚。晩年のピアフは彼を一流の歌手に育て上げる事に専念
【演奏】
 セルジュ染井アンサンブル
  セルジュ染井(ピアノ)・須田清三(ベース)・今井満(ギター)
  赤尾忠幸(ドラム)・水野弘文(シンセ/アコーディオン)


<STORY>
1930年代、パリのいかがわしい下町。やくざな男たちに囲まれた小柄な女がいる。街角で 歌を歌い、妹シモーヌ、娘マルセルとの生活費を稼ぐエディットだ。男たちとエディットは、歌に気を取られている人の財布をスルという、持ちつ持たれつの関係をつづけていたが、その日は若い兵隊に目配せをしてスラレ無い様に警告したというのだ。男たちが去った後、再び気丈にも歌い始めるエディット。生きていく上では仕様が無い事とはいえ、泥棒の片棒担ぎには、ほとほと嫌気が差していた。
そんな時、高級クラブの経営者ルイ・ルプレがエディットの歌を聴き、彼女に才能を見出す。これまで数多くの才能を世の中に出してきたルプレは、ピアフに自分のクラブへの出演を持ちかける。初舞台は大入り満員。ルプレはエディットに「エディット・ピアフ」の名前を贈る。政治家・文化人といった上流階級の人々を前に、エディットはおずおずと歌い始める。歌い終わった後、一瞬の静寂。そして、割れるような大喝采。賛辞が投げかけられる。天才、聖なる怪物、女王ピアフ。
成功の喜びも束の間、ルプレが何物かに殺害され、発見者となったエディットが容疑者扱いされてしまう。エディットの評判は地に落ちた。そして娘マルセルの死が追い討ちをかける。エディットに残されたものは歌だけだった。
再び街角で歌い始めたエディットは作詞家レーモン・アッソ−と出会う。アッソ−はエディットの恋人になり、読み書きから礼儀作法までを徹底的に教育する。一流クラブABCホールでの舞台を手配したり、作曲家マルグリット・モノーを紹介するなど、精力的に援助をするアッソ−。こうしてエディットは改めて成功への階段を上り始める事になる。第2次世界大戦後、エディットはスターとして輝いていた。瀟洒な自宅を持ち、専属マネジャー、ルイ・バリエもついた。ある日エディットの自宅に売れない歌手イヴ・モンタンが訪ねる。程なく二人は恋に落ち、エディットはモンタンに歌い手の心の大切さ、愛の歌の必要を説く。かつてアッソ−がそうしたように、今度はエディットが若手たちを育てる番だった。いやがるモンタンに縞の背広も着せた。エディットは恋人には必ず縞の背広を着せるのだった。
そして、月日は流れ、ニューヨークの新聞記者たちの間では、フランスを誇る二人のスターの不倫の恋の噂で持ちきりだった。一人は、ボクシングチャンピオン マルセル・セルダン、そして、エディットだ。二人は名声や地位をかなぐり捨て、その人自身を愛した。ところがその幸せは長くは続かなかった。名門オリンピア劇場でのリサイタルを控え、一足先にパリに戻ったエディットは、オルリー空港にマルセルを迎えに向かう。そこでピアフが聞いたのはショッキングなアナウンスだった。セルダンの乗った飛行機が墜落したというのだ!マルセルは世界チャンピオンの座を手にし、エディットは彼への思いを綴った≪愛の讃歌≫を、マルグリットの曲で仕上げたばかりであった。本来ならばお祝いになるはずの歌は、マルセルに捧げる弔歌となった。そして、月日は流れ、ニューヨークの新聞記者たちの間では、フランスを誇る二人のスターの不倫の恋の噂で持ちきりだった。
愛の賛歌

一人は、ボクシングチャンピオン マルセル・セルダン、そして、エディットだ。二人は名声や地位をかなぐり捨て、その人自身を愛した。ところがその幸せは長くは続かなかった。名門オリンピア劇場でのリサイタルを控え、一足先にパリに戻ったエディットは、オルリー空港にマルセルを迎えに向かう。そこでピアフが聞いたのはショッキングなアナウンスだった。セルダンの乗った飛行機が墜落したというのだ!マルセルは世界チャンピオンの座を手にし、エディットは彼への思いを綴った≪愛の讃歌≫を、マルグリットの曲で仕上げたばかりであった。本来ならばお祝いになるはずの歌は、マルセルに捧げる弔歌となった。
50年代、マルセルの死後、エディットはぼろぼろだった。酒・麻薬。膨大なギャラは 酒と麻薬、そして治療代に消え、取り巻きたちでいっぱいだった自宅には誰も訪れるものはいなかった。唯一そばに残ったシモーヌ、マルグリット、ルイ・バリエの3人も自分たちでエディットを立ち直らせる事が出来ないのは知っていた。彼女には愛が必要だった。立ち直らせるだけの愛に溢れた天使のような男が...。そこへギリシャ人の青年テオ・サラポが現れた。誰もが「うまい具合に縞の背広が似合うといいんだけれど...」と思う。
三人の願いもかない二人は愛をはぐくみ始める。21才もの年齢差をものともせずに、「名声ではなく一人の可愛い女を愛している」と純粋な愛を誓うテオにエディットはマルセルとの愛を思いおこしていた。そして、エディットはテオを歌手にしようとレッスンをはじめる。テオのデヴューとエディットのカムバック・リサイタル。そして、結婚。新聞は「オリンピアの奇跡」と書きたて、全ては再び順調に回り始めたかのように見えた。

再び倒れたエディット。

自分の残り少ない時間をテオのレッスンに当て、テオを素晴らしい歌手にしてほしいと生まれて初めて神にも祈った。そして、最後のレッスン。何度も歌いなおすテオにエディットは叫ぶ。「もっと愛を!そうよ、そうよ...」。歌い終わったテオが見たものは眠るように死んでいるエディットであった。


[公演概要]