
30年近くも、ブロードウェイで年1本以上のヒット作を発表してきた、アメリカの国民的コメディ作家ニール・サイモン。彼が、自らの活動の総決算として取り組んだのが“B・B三部作”と呼ばれる自伝的作品です。迫りくる第二次世界大戦を背景に、貧しいながらもたくましく生き抜くユダヤ人一家と、主人公ユジーン少年の思春期の芽生えを描いた第一部「ブライトン・ビーチ回顧録」(1983年トニー賞受賞)。徴兵されたユジーンを、新兵訓練キャンプで仲間たちと過ごした日々を縦糸に、彼の初恋と初体験を横糸に描いた第二部「ビロクシー・ブルース」(1985年トニー賞受賞)。…それぞれ1985年、1987年にパルコ劇場で本邦初演され、大絶賛を博しました。そして、1989年に上演されたのが三部作完結編「ブロードウェイ・バウンド」(1987年トニー主演女優賞受賞)でした。完結編にふさわしい、圧倒的な厚さと人間愛に満ち溢れた傑作で、この三部作をもってニール・サイモンは20世紀の青春文学に金字塔を打ち立てたといってよいでしょう。
ユジーンは、1987年「ビロクシー・ブルース」の好演で当り役となった真田広之、また母・父・叔母には河内桃子・近藤洋介・三田和代、兄に「ビロクシー・ブルース」でユジーンの親友を力演した新井康弘、さらに祖父に下元勉という豪華配役。
翻訳・演出は前二作でその評価を不動のものとした青井陽治。
シリーズ上演完結編「ブロードウェイ・バウンド」は、『今、どうしても見て頂きたい、私たちのドラマ』として上演されました。 |