パルコ劇場/兵士の物語
ストラヴィンスキー作曲/アファナシェフ原作/ラミューズ脚本
兵士の物語
読まれ、演じられ、踊られる、
音楽劇の代表的名作、世紀の決算
色彩を施し、新世紀の幕開けとともに誕生。
ジャン・コクトーが、スティングが、
クリストファー・リーが、イアン・マッケランが …
世界の名優・名士たちが演じてきた
「兵士の物語」
日本語による決定版、ついに完成!
演出:山田和也
出演
いっこく堂 篠井英介
指揮/笠松泰洋
演奏/アンサンブル・ゾリステン



兵士の物語   QuickTime 記者会見その1(いっこく堂)
QuickTime 記者会見その2(篠井英介)
QuickTime 記者会見その3(山田和也)
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20世紀の音楽のすべてを要約したひとつの帰着点、
それは巨大なオーケストラと訣別してから
ストラヴィンスキーがトライアルした、
7人という最小限のオーケストラ劇でした。
コンボがつくる劇音楽によって、
彼が馴れ親しんだ祖国をイメージした舞台、
そんな人生の演劇的オペラを今、ひもときます。

いっこく堂
●ことばと音楽を伝える「音楽劇」
ラミューズの本により今世紀最大の作曲家の1人、ストラヴィンスキーが第一次世界大戦 下にかきあげた傑作「兵士の物語」は、とてもユニークなジャンルに位置しそうです。オー ケストラ7人、登場するキャラクターは語りを含め4人。歌唱がなく会話のみをとるこの作 品に今回はアプローチを演劇的観点からおこなってみようと思います。
●クラシック音楽の巨匠・ストラヴィンスキー
「兵士の物語」のCDは数多くリリースされていますが、ストラヴィンスキーの作品として 当然クラシックのコーナーに並べられ、「春の祭典」や「火の鳥」、「ペトルーシュカ」など と連ねられています。「兵士の物語」の公演というと、クラシックコンサートに『語り』がいます、といった作品案内が多くなされているようです。
ストラヴィンスキーの音楽はすばらしく、ものがたりを見事に描写しています。
CDで体験する「兵士の物語」は英語盤、仏語盤、独語盤、伊語盤、日本語盤のどれもがみな 大変耳に心地よい時を与えてくれます。
しかし一部の人を除いて外国語で語りが入ることは、ことばによる人間の本質といったものが つたわりにくいのではないかと思います。どこの国の盤をとっても音楽が先行して、『語り』 によることばの数々を付帯のものとしてとらえてしまいそうですが、このメッセージに 耳を傾けてみますと、心に深く響くものがあります。
●人間の表裏、わたしたちの本当に欲しいものとは。
私たちは兵士です。魂をヴァイオリンで表現していますが、望むものすべてを手に入れる ためには金銀財宝を手にすることだ、とばかりに悪魔の持つ魔法の本とヴァイオリンを交換し ます。本の教えに従い、兵士は日増しに財をなしてゆき、向かうところ敵なしの資産家となります。
ところが、こころは満たされず、幸福感は少しも起こらないどころか、精神的に孤立してゆきます。
もう一度ヴァイオリンを取り戻しますが、もはや奏でることはできません。兵士は、魔法の本を手放し、愛をもとめてお姫様に会いに行きます。本を再び手にするよう囁く悪魔をふりきって、しあわせな結婚を手に入れたのでした。でも、私たちは今の幸せに慣れると「もう少し」、「もう少し」と 欲が出てきて、際限がありません。結局悪魔との付き合いは永遠に続くのでしょうか。
篠井英介 ●語りと兵士とオーケストラの贅沢な舞台
「簡単に筋を追うと以上のようなおはなしですが、このなかで大切な役割を果たすのが語りです。 ロイヤル・シャイクスピア・カンパニーのイアン・マッケランによる英語盤や作家・詩人のジャン・コクトーによる仏語盤を聴いてみると、音楽全体の進行とストーリーの進行の呼吸をうまくとらえ、登場人物のキャラクターをイメージしていく、というように単なる朗読ではないのです。
「兵士の物語」、優れた音楽作品として知られているかもしれませんが、ことばを伝える舞台劇 としても秀逸です。この二つが相俟って演劇的オペラ、つまり音楽劇となるわけで、今回はこういった捉え方でスポットをあててみたいのです。そのための語り、登場キャラクター、オーケストラには 理想的な方々に演じていただき、舞台はお客様に作品の世界を最大限堪能していただきやすい環境空間を創ってゆきたいのです。日本語による、ことばとリズムの妙を存分にお伝えして。
●ゲーテの「ファウスト」より親しみやすく
ゲーテの「ファウスト」と近く、自分の魂と引換えにしてまでも手に入れたいものと出会うことが 我々にはどうもあるようです。「兵士の物語」の主題も「ファウスト」ト同じ点にありますが、 もっと日常的であり、私達でも普段感じることができる心の中の「悪魔」が描かれています。
そんな日常的なテーマをストラヴィンスキーは、戦地から一旦解放された「兵士」の様々な思い、 考えに反映させてゆきます。この「兵士」は今、私達の生活の中に置き換えるとすると、日々仕事に 追われているサラリーマンといったところでしょうか。毎日残業残業と休む間もなく働き、自分のゆとりの時間がつくれない…。そんな事を日々嘆いている私達自身であるといえるでしょう。
そんな観点から、この「兵士の物語」を感じていただければと思っています。
●いっこく堂 VS 篠井英介
私達自身でもある「兵士」を今回は、腹話術というジャンルを新しいエンタテイメントとして 見せてくれているいっこく堂が演じます。人間の表裏一体をあらわす「兵士」 と「悪魔」のやりとりの彼のスーパー腹話術で演じて分けるといった趣向。
いっこく堂は「兵士」として姿をあらわしますが、人間のエゴや弱さなどが内面から起こってくる 様を目と耳で体験できるように絶妙の腹話術によって「悪魔」のことばの世界へ導いてくれます。  そして、この世界をすすめていく語り役には篠井英介
特異なキャラクターで独り芝居も演じてきた実力派。舞台で繰り広げられていく世界を彼独特 の語りで私たちを誘ってくれます。「兵士」の心の支えなのか、それとも「悪魔」の回し者 なのか、いずれの可能性を秘めた“ことば”の応酬が観る者全ての運命を左右していきます。
●個性がぶつかり合う時、そこには美しい花火が散る
そして、この二人を料理していく演出家は山田和也。三谷幸喜脚本の演出をはじめ、 「ローマの休日」「少年隊ミュージカル」「マディソン郡の橋」などミュージカルから ストレートプレイまで、向かうところ敵無しの演出家です。99年に、サイトウ・キネン・ オーケストラ松本公演において、市村正親による「兵士の物語」を演出し、高い評価も受けております。 指揮・音楽監督には是枝裕和監督の「ワンダフル・ライフ」のサウンドトラックをはじめ、舞台作品では 蜷川幸雄演出の「ハムレット」(真田広之主演)、「ロミオとジュリエット」(大沢たかお主演)、そして この秋話題になりました「グリークス」などの作曲を手掛けたホープである笠松泰洋を迎えます。
そしてオーケストラは日本の音楽界を背負って立っていく秀逸のプレイヤー達で今回特別に 編成されたアンサンブル・ゾリステンです。
各々の分野のスペシャリストがそれぞれの得意技を使い、ぶつかり合い、共に高められていく 「兵士の物語」をどうぞお楽しみ下さい。


これは21世紀最初の「事件」です。



<STAFF>
原作/アファナシェフ 脚本/ラミューズ
作曲/イゴール・ストラヴィンスキー
演出/山田和也 翻訳/岩切正一郎 音楽監督/笠松泰洋

<CAST>
兵士/いっこく堂 語り/篠井英介

指揮/笠松泰洋

演奏/アンサンブル・ゾリステン

舞踏/ファス・バレエダンサーズ



兵士の物語[公演概要]

関連ホームページ いっこく堂
いっこく堂オフィシャルHP