2012年、デビュー作の短編連作集「犯罪」で、日本では本屋大賞(翻訳部門)を受賞し、ベストセラー作家として、全世界にその名前が知られることになったフェルディナント・フォン・シーラッハ。
母国ドイツ国内でも多数の賞を受賞して高い評価を得、続く短編集「罪悪」、長編「コリーニ事件」「TABU」も、次々と話題を呼び、大好評と注目を獲得しています。
シーラッハは刑事事件弁護士であり、体験した事件を織り込むこともあるなど数々の事件で得られた経験と鋭い観察眼で作品を執筆、短く淡々とした描写で深く人間の業に分け入っていく作品は読む人を虜にして離しません。
シーラッハは、‘犯罪’を通して人が「どう生きるべきなのか」を問いかけ、常に罪と隣り合わせで生きている私たちに語りかけてきます。
被告となった空軍少佐を弁護する弁護人には、日本を代表する実力派俳優の一人、橋爪功。被告の犯罪性について追及する検察官には、2012年の紀伊国屋演劇賞個人賞にも輝く個性派女優の神野三鈴。この二人の法廷での攻防が本作の見どころの一つです。
またこの作品を膨大なセリフで構築し、采配する裁判長役は、大河ドラマを始め数多くのテレビドラマ、映画、舞台で活躍する今井朋彦、裁かれる空軍少佐に、数々の演劇、ミュージカルなどで活躍し、念願の森新太郎演出に初参加となる松下洸平、ほかこの事件を第三者視点で語る被害者参加人に前田亜季、証人として登場する堀部圭亮、廷吏役に原田大輔など、そうそうたる実力派の俳優たちが、知性と倫理観を究極まで追及される難易度の高い法廷を彩ります。
本作は、テロリストにハイジャックされた民間旅客機を撃墜した空軍少佐の判決を巡る法廷劇です。舞台の終盤で評決するのは、裁判員と見立てられる“観客”という異例の舞台。評決によって結末は有罪と無罪の2パターンが用意され、海外では回によって評決が割れました。
兵庫県立芸術文化センターの企画制作、朗読・橋爪功、ピアノ演奏・小曽根真のコンビで、2016年8月に東京、兵庫で日本初演となる朗読劇が上演されました。
「なんとかして無罪にならないかといろいろ読み方を試しましたが、結果はすべて有罪でした」と橋爪氏。朗読劇では全役を一人で演じる達成感と、評決が分かれないというもどかしさもあったようです。
今回は空軍少佐を弁護する弁護人役に没頭できるとあって、観客の反応の違いも含めて大いに楽しみだと語ります。全公演が有罪判決だった2016年の朗読劇。舞台版では果たしてどうなるのでしょうか。
どうぞご期待ください!
2013年7月26日、ドイツ上空で民間旅客機がハイジャックされた。犯人であるテロリストたちは、7万人が熱狂しているサッカースタジアムに飛行機を墜落させて多数の命を奪うと共に、世界的なニュースになることを目論んでいた。しかし、緊急発進したラース・コッホ空軍少佐は、独断でこの旅客機を撃墜する。
乗客164名の命を奪って、7万人の観客の命を守った彼は英雄なのか、犯罪者なのか。裁判は民間人が評決に参加する参審裁判に委ねられる。検察官による論告、弁護士による最終弁論を経て、判決は一般の参審員(観客)が決めることとなる。観客の評決によって、無罪と有罪の二通りの結末を持つ衝撃の法廷劇。
シーラッハの小説と僕を出会わせてくれたのは、所属する演劇集団 円の大先輩で、今回もご出演いただく橋爪功さんだ。2013年のクリスマス頃、「犯罪」「罪悪」という二冊の短編集から選んだ数編をリーディング上演する際の演出をさせていただいた。刑事事件弁護士だった著者が、自身の携わった事件をもとに綴った物語は、どれも人間の暗部と人生の不可解さに迫る生々しさを宿しつつ、それとは対照的な緻密な文体で記されており、橋爪さんの卓抜した朗読術とあいまって、小品ながら再演したい演目として胸に刻まれていた。
再び向き合ったシーラッハ作品『TERROR』は、彼の最新作にして初の戯曲だ。テロリズム、人命の重さと数の原理、正義と法とモラル……etc。いくつものテーマや命題を内包しながらも、実はこの作品の主役は「観客」ではないかと思っている。
ハイジャックされた航空機の乗客164人と、サッカースタジアムの観衆7万人。両者の生命を天秤にかけざるを得なかったコッホ少佐を被告とする裁判でのやりとりは、そのまま僕自身も含めた作品に向き合う人々の人生の捉え方、生きることの指針、生命に対する倫理や道徳観などを問い、足元を見つめ直させる。
そう、『TERROR』は日本人が最も苦手とする「決断」を劇中から迫る、演劇的スリルに満ちた知的なエンタテインメント。観客の皆さんは陪審員として舞台を担い、作品の結末を左右する大きな影響力を持っているのだ。そんな稀有な体験が約束された舞台を、一人でも多くのお客様と共有できたらと思っている。
劇中に「裁判所は事件を再現する劇場だ」という主旨のせりふがあるが、この異色の裁判劇をしっかりと支えてくれる、強力かつ魅力的な俳優たちに集まってもらうこともできた。松下洸平さんの佇まいに見える、若さの中にある生真面目さと純粋さ、強固な意志は、彼がコッホ少佐を演じるために必要な資質を持っていることの証に思える。検察官ネルゾン女史を演じる神野三鈴さんは、その豊かな情感と確かな演技力で迷える陪審員たちを惹きつけ、存分に揺さぶってくれるだろう。圧倒的な論理を膨大なせりふで構築しなければならぬうえ、有罪と無罪、二つの結末を持つこの劇を采配する裁判長のキャスティングに、今井朋彦さんを思いついた時は快哉を叫んだ。堀部圭亮さん、前田亜希さんもドラマを引き締める存在感を発揮してくださるに違いない。
そしてシーラッハ・ワールドでの弁護士役がすっかり板についた橋爪さんは、堅牢なドラマの中に軽やかに立ち、「人が人を裁く」という不可能に挑む者たちの一縷の光明となるに違いない。
役者はそろった。
あとは戯曲に沿い、キャスト・スタッフとともに『TERROR』が導く思索の旅、その道のりを進むのみ。
行く手に何が見えてくるかはまだ皆目検討がつかないが、僕らの危機意識がどこに向き、どのレベルにあるかがあぶり出されるであろう創作の時間を、僕自身楽しみにしている。
美術: 堀尾幸男 照明: 佐藤啓 音響: 高橋厳 衣裳: 西原梨恵 ヘアメイク: 中原雅子
演出助手: 須藤黄英 舞台監督: 林和宏
宣伝美術: 東學 宣伝写真: 渞忠之 宣伝写真衣裳: 松竹衣裳 著作権代理: Meike Marx
プロデューサー: 栗原喜美子 / 尾形真由美 制作: 滝口久美 東京公演製作: 井上肇(パルコ)
企画: 兵庫県立芸術文化センター 共同製作: パルコ 兵庫県立芸術文化センター 協力: 東京創元社
日程 |
2018年1月16日 (火) ~2018年1月28日 (日) |
会場 |
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA |
料金 |
7,800円(全席指定・税込) |
前売開始 |
2017年10月15日(日) |
企画 |
兵庫県立芸術文化センター |
共同製作 |
パルコ 兵庫県立芸術文化センター |
協力 |
東京創元社 |
お問合せ |
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ご注意 |
※未就学児の入場不可 |
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新宿駅東口・紀伊國屋書店新宿本店 5F
日程 |
2018年2月17日 (土) ~2018年2月18日 (日) |
会場 |
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール |
料金 |
¥7,000(全席指定・税込) |
前売開始 |
2017年10月15日(土) |
企画 |
兵庫県立芸術文化センター |
共同製作 |
パルコ 兵庫県立芸術文化センター |
協力 |
東京創元社 |
お問合せ |
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ご注意 |
※プレイガイドでのお取扱については各プレイガイドにお問合せください |
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