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■ロンドンは、恐怖で盛りあがるー |
ロンドン・ウエストエンドのフォ−チュン・シアタ−(THE FORTUNE THEATRE)で現在上演されている『ウ−マン・イン・ブラック(THE WOMAN IN BLACK)〜黒い服の女〜』は、大好評のうちに15年目のロングラン(フォ−チュン・シアタ−のロングラン記録を更新中)を記録しています。女流作家ス−ザン・ヒルの同名小説をもとに スティ−ブン・マラトレットの脚色 ロビン・ハ−フォ−ドの演出で舞台化されたこの作品は、簡素なステ−ジング・男二人だけという特に華やかさはないにもかかわらず、いや だからこそというべきほどに見事に物語は怪奇性を帯び、舞台ならではの演出が冴えわたっています。 1989年1月、リリック ハマ−スミス シアタ−というロンドンの街はずれの小劇場で幕を開けたこの作品は、たちまちのうちに評判を呼び 同年6月にはウエストエンドのフォ−チュン・シアタ−で上演を開始。瞬く間にロンドンっ子を恐怖で震え上がらせ、大評判となりました。連日連夜 劇場には恐怖の悲鳴を求める長蛇の列ができています。 |
■恐怖と想像力が結晶する!“劇場の魔法” |
恐怖…“恐い”という感情は、死に対して、未知なるものに対して自分を防御するために生来持っている感覚です。それゆえ、人間の“本来持っている恐怖”はだれにでも同じように襲いかかるもの、そして共有できるものです。故に、“恐怖”には普遍的エンタテインメントとしての可能性があるように思われます。そして、もう一つ、この作品には舞台ならではの演出があります。それは、想像力です。 始めは、現実と重なる劇場という設定。ただし、観客のいない劇場でのお話。本当ならばそこには何百という人の息が聞こえてきそうなところでたった二人の男が(一人は、俳優 一人は、弁護士と言う設定)、実際に体験した幽霊の話を演じながら語る。物語にそって次々にその登場人物を演じ分け、わずかな小道具を見事に操りながら、例えば大きなバスケットを馬車に見立てたり…。これは、ひとつの“劇場の魔法”。舞台ならではの俳優と観客が作り出す“劇場の魔法”です。俳優の演技から観客は自分の想像力を使い、見事にその物語の中へ巻き込まれざるをえなくなるのです。 人間の本来持っている“恐怖の感覚”と“想像力”が見事に結晶していく『ウーマン・イン・ブラック』。まさにホラーエンタテインメントの決定版といえる舞台です。 |
■大好評の組合せ <上川隆也&斎藤晴彦> |
92年・93年(萩原流行/斎藤晴彦)、96年(西島秀俊/斎藤晴彦)、そして99年<上川隆也・斎藤晴彦>と上演してきた本作品は、パルコ劇場のアンケ−トでも上演・再演希望の多い作品です。しかも、高校生・大学生を中心に作品の評価は絶大なものです。 それは一つには、虚飾を廃したシンプルなスト−リ−/豊富なアイデア/舞台ならではの感覚/役者のみえる舞台作り が若者の心を魅了するのではないでしょうか? 今回は、99年に大好評を得た、上川隆也&斎藤晴彦の出演でお届けいたします。 |