「俺だって腕はいい!ピアポイントと同じくらいに!!」
1963年。イングランドの刑務所。ハングマン=絞首刑執行人のハリー(田中哲司)は、連続婦女殺人犯ヘネシー(村上航)の刑を執行しようとしていた。しかし、ヘネシーは冤罪を訴えベッドにしがみつき叫ぶ。「せめてピアポイント(三上市朗)を呼べ!」。ピアポイントに次いで「二番目に有名」なハングマンであることを刺激され、ハリーは乱暴に刑を執行するのだった。
2年後。1965年。イングランド北西部の町・オールダムにある小さなパブ。死刑制度が廃止になった日、ハングマン・ハリーと妻アリス(秋山菜津子)が切り盛りする店では、常連客(羽場裕一・大森博史・市川しんぺー・谷川昭一朗)がいつもと変わらずビールを飲んでいた。新聞記者のクレッグ(長塚圭史)は最後のハングマンであるハリーからコメントを引き出そうと躍起になっている。そこに、見慣れない若いロンドン訛りの男、ムーニー(大東駿介)が入ってくる。不穏な空気を纏い、不思議な存在感を放ちながら。
翌朝、ムーニーは再び店に現れる。ハリーの娘シャーリー(富田望生)に近づいて一緒に出かける約束をとりつけるが、その後姿を消すムーニーと、夜になっても帰って来ないシャーリー。そんな中、ハリーのかつての助手シド(宮崎吐夢)が店を訪れ、「ロンドン訛りのあやしい男が『ヘネシー事件』の真犯人であることを匂わせて、オールダムに向かった」と告げる。娘と男が 接触していたことを知ったハリーは・・・!
謎の男ムーニーと消えたシャーリーを巡り、事態はスリリングに加速する。
イングランドで「二番目」に有名な絞首刑執行人(ハングマン)。
高名な執行人であるピアポイントへのコンプレックスを抱えている。
執行人であったことにプライドがあり、パブの客たちの前では尊大に振舞う。
パブを切り盛りするハリーの妻。内向的な娘を心配している。
ピアポイントには好意的。
ハリーのパブにふらっと現れたロンドン訛りの青年。つかみどころのない態度で、ハリーやパブの客たちに不穏な印象を残す。翌日アリスを怒鳴りつけ、シャーリーとは一緒に出掛ける約束をして、姿を消すが・・・・・・。「ヘネシー事件」との関係を匂わせる。
ハリーのかつての助手。
ムーニーがオールダムを訪れる前に出会っており、そのことをハリーに告げに来る。
ある行動をきっかけに、ハリーに嫌われ、職を追われた過去がある。
ハリーの店の常連客。耳が遠いが、時々核心をついた発言をする。
地方紙の新聞記者。死刑制度廃止について、最後の絞首刑執行人であるハリーのコメントを引き出すためにパブに出入りする。
常連客。耳の遠いアーサーにパブで起きていることを説明する通訳的存在。
ハリーの店の常連客。ハリーの言うことにいつも合わせて機嫌を取るが、ハリーからは「バカ」扱いされている。
ハリーによって刑を執行された死刑囚。最期まで冤罪を叫んでいた。
ハリーの娘。15歳。内気で、ハリーとアリスからは「雨雲みたいにどんよりしている」「不機嫌そう」「暗―い」と注意をされている。ムーニーと出かける約束をした後、姿を消す。
実在の絞首刑執行人。ナチス戦犯約200人の刑を執行したことで有名。
常連客。警部だが、勤務時間中もパブに入りびたっている。