悪意、不毛、ナンセンス、ばちあたり、アナーキー。
議論百出、話題沸騰の問題作『ウィー・トーマス(黒猫)に続く第二弾。
マーティン・マクドナー×長塚圭史の、やっぱりとんでもない最新作
『ピローマン』(枕男)ついに上演!
高橋克美×山崎一×中山祐一朗×近藤芳正が繰り出す、
ひねりがききまくった笑いの波状攻撃。
受けて立つのは、さあ、あなた。

2003年8月パルコ劇場で上演し、喧々囂々の物議をかもした、とんでもない舞台「ウィー・トーマス」(原題:THE LIEUTENANT OF INISHMORE / マーティン・マクドナー作・長塚圭史演出)に引き続き、マーティン・マクドナー×長塚圭史の第二弾作品として、前作を上回る喧々囂々話題沸騰必至の最新作「ピローマン」(原題:THE PILLOWMAN)。前作は、71年生まれのマーティン・マクドナーと75年生まれの長塚圭史というネクスト・ジェネレーションによる新しい感覚の翻訳劇として高い評価を得ました。
今回の作品は、昨年11月から今年4月まで、ロンドンのナショナル・シアターでレパートリー上演され、2003年度ローレンス・オリヴィエ賞新作最優秀賞を受賞、今年9月からのブロードウェイ上演も決定した世界的な注目作。そして前作から予想されるとおり、笑うしかないほどの悪意とおばかさ、不毛とナンセンス、ばちあたりなアナーキーさを満載した、とんでもない問題作です。


むかしあるところにピローマンという男がいました。
身長が3メートルくらいで、全身がたくさんのふわふわしたピンクの枕でできていました。
腕も足も胴も指も枕でできていて、頭はひとつの円形の枕でした。
そこにはボタンの目が二つと、いつも笑っている口が一つ。
笑っている口から覗いている歯は小さな白い枕でした。
ピローマンは優しく無害に見えなければなりませんでした。というのはピローマンの仕事のせい、
ピローマンの仕事はとても悲しく大変なものだったのです。
誰かがひどく辛い思いばかりしていて、その人生を終らせたくなってしまった時、
ピローマンがやってきて、その人の横に座り、やさしく抱きしめて「ちょっと待っててね」と言うのです。
するとあら不思議、その人はまだ人生の苦しみや悲しみを知る前、少年少女の頃に戻っていくのです。
ピローマンの仕事は、彼らがその後に味わう長年の苦しみを避ける為に、
少年や少女のうちに自殺させてあげることでした・・・・
 

ただでさえ可哀想な子どもが、さらに可哀想なことになってしまう「メルヘン」ばかりを書いている作家カトゥリアン(高橋克実)の身辺で、お話によく似た殺人事件が次々に起きる。作家はものすごく胡散臭い二人の刑事、トゥポルスキ(近藤芳正)とアリエル(中山祐一朗)の取り調べを受けるが、その過程で、作家の過去ばかりか、二人の刑事の素顔、そして“知恵遅れ”のカトゥリアンの兄ミハイル(山崎一)をめぐる驚愕の秘密が明らかになっていき…。
作家のマーティン・マクドナーは英国出身。弱冠25歳のとき発表した処女作「ビューティ・クイーン・オブ・リナーン」(96年英国ロイヤル・コートで初演)が大成功をおさめ、1998年トニー賞4部門ほか数多くの賞を獲得、一躍世界が注目するNO.1若手劇作家となりました。アイルランドに出自を持つマクドナーはこれまでいずれもアイルランドを舞台にクールで批評精神に富んだ、過激なまでのブラック・コメディで絶賛を博してきましたが、この作品で初めてアイルランド以外の架空の場所、東欧らしき場所を舞台にし、残酷なメルヘンばかりを書く作家カトゥリアン、というあたかも自分自身を投影させたような存在を登場させました。マーティン・マクドナーが新しい世界、新境地に足を踏み出した作品、
それが「ピローマン」です。
演出には、現在日本演劇界で最も注目をあつめる若手クリエイター長塚圭史
96年に演劇ユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」の活動を開始し、作・演出家・俳優として急速に人気を拡大させてきました。2002年、27歳の時「マイ・ロックンロール・スター」で作・演出家としてパルコ劇場に進出し、その後も順調に話題作、秀作を連発。今年も、その勢いはとどまるところを知らず、阿佐ヶ谷スパーダース「はたらくおとこ」の作・演出・出演、ヴィレッヂプロデュース・阿佐ヶ谷スパイダース「真昼のビッチ」の作・演出、「夜叉ヶ池」の脚色など大活躍が続いています。はじめての翻訳劇『ウィー・トーマス』では、その若くみずみずしい感性が、同世代のマーティン・マクドナーの感性と見事に響きあいました。
そして、このとんでもない舞台の出演者には、長塚圭史が信頼を寄せ、今舞台やテレビで輝いている個性派男優4人がそろいました。真摯な文学者なのか、ただのいっちゃってるやつなのかよくわからない作家カトゥリアンに高橋克実。脳に障害を持ち、天真爛漫なのか邪悪なのかよくわからない兄ミハイルに山崎一。この二人を取り調べる胡散臭くて、有能なのか無能なのかよくわからない刑事に近藤芳正。その部下で凶暴なのか心優しいのかよくわからない刑事に中山祐一朗。くせもの個性派俳優の競演による、マーティン・マクドナー×長塚圭史の超過激問題作「ピローマン」。不穏当すぎて笑わずにはいられない現在を映す鏡のような舞台。見逃せない上演にどうぞご期待下さい。
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