オデッサは特殊なサイトを運営しているサイト管理人。そのサイトは、何千マイルも離れてまったく異なる職業につきながら、ヘロイン、コカインといった依存性のあるドラッグ中毒者たちが集まるサイトだった。
管理人のオデッサ自らも元コカイン中毒者であり、かつて幼い娘と息子を依存症のために見殺しにしかけ、娘を失った過去を持っていた。
生き残ったオデッサの息子エリオットは、伯母のジニーに引き取られて青年に成長すると、やがてイラク戦争に出兵して肉体的に負傷すると共に、帰還してからはあるトラウマに悩まされていた。また、エリオットの従兄弟で彼の良き理解者である大学非常勤講師のヤズミンは、現在離婚調停中で人生に行き詰まっていた。
すべての登場人物が、人生の行方を探そうとしてあらがい彷徨う中、エリオットの育ての母であり伯母だったジニーの死をきっかけに、オンラインとオフライン、それぞれの人間関係がリアルな世界の繋がりの中へとくっきりと浮かび上がり、少しずつ変化していく。
ドラッグを契機に身内も含めた「社会」から疎外されてしまった人々。改めて他者とつながりたいという願望を募らせつつも、うまくいくはずがないと葛藤する彼ら彼女らのありようは、現代社会の闇であると共に、ネット社会こその一筋の希望を照らし出す。
- エリオット・オルティス 尾上右近
- 俳句ママ(オデッサ・オルティス) 篠井英介
- ヤズミン・オルティス 南沢奈央
- ミネラルウォーター(ジョン) 葛山信吾
- あみだクジ(ウィルスキー) 鈴木壮麻
- オランウータン(マデリーン) 村川絵梨
- アマン教授、幽霊、日本の警官 陰山 泰