舞台『金閣寺』高校生モニター感想 その2

2014年4月10日(木)

一昨日公開させていただきました高校生モニターお二人からの感想に続き、またたくさんの感想が届きました。
高校生の皆さんが自分なりに『金閣寺』を観て受けた印象を咀嚼して書いてくださったご感想に、スタッフも感動しております。
また17名の皆様からのご感想をご紹介します。少し長いですが、どのご感想も力作揃いです。ぜひお読みいただいて、皆様もぜひ『金閣寺』の世界を体感しに劇場へお越しいただければ幸いです。
 
【C高校2年 女子】
既に照明のついた舞台の始まり方。いつ始まるかワクワクしました。舞台途中の蛍光灯を吊っていたワイヤーを下ろして竹に見立てる演出が印象に残っています。音響に関しては少しうるさく、頭が痛くなることがありました。大道具の移動は早くかつスムーズで見ていて気持ちが良かったです。全体的に暗い照明でピンスポットで役者を追うのはかなり難しいのに綺麗に追えていてすごいなと関心しました。しかし暗い照明から一気に明るくなるのは目がチカチカしました…。最後の照明が強くなるシーンは眩しかったのですが、とても綺麗でした!脚本についてですが、最初から最後までシリアスで見応えがありました。女性と関係を持とうとすると金閣寺が戒めるのはどうしてなのかな、と考えたりしました。あと、英語のセリフがペラペラですごいなーと関心していました。勉強になるところの多い、素晴らしい舞台でした。
【D高校2年】
三島由紀夫さんの「金閣寺」を観劇させていただきました。
このような大きな劇場で観るのははじめてのことだったのでとてもいい経験になりました。
まず、私が素晴らしいなと思ったのは、照明です。照明と役者の動きや音響とのミックスがとても凄かったです。
中でも金閣寺への道や、寺の中や町を蛍光灯でしるしていたのがなるほどなと感心しました。
また、山川さん演じる鳳凰は本当に素晴らしかったです。
神々しさと共にある怖さも伝わってきて圧倒されました。
また、あの声を録音ではなく舞台で生で声を発しているとのことだったのでびっくりしました。ダンサーの方々も同じように神々しさを感じさせる躍りで素晴らしかったです。
そして芝居としてはやはり最後の溝口の「生きよう」というセリフが一番印象に残りました。
なぜ彼は金閣寺と共に死のうとしていたのに生きようと思ったのか。それは答えは分かりませんが、色々と考えさせられるシーンでした。
溝口にとって金閣寺は絶対な存在であり美しいものということがまっすぐに伝わってきて、溝口と金閣寺の関係性がはっきりしていてとても面白かったです。
なかなかこのような本格的なお芝居を見ることはなかったので観劇してとてもよかったです!
とても勉強になりました。
またぜひお芝居を観てみたいです!
【E高校 2年】
今回私が「金閣寺」を観劇し抱いた感想として最もふさわしいのは「圧倒された」ということだと思う。
 「人間の抱える闇」のようなものを描いた、原作の三島由紀夫の「金閣寺」の持つ陰鬱な独特の雰囲気が冒頭から舞台上に作り上げられていて、まずその雰囲気に圧倒され、引き込まれていった。擬人化された金閣は、脅威であり恐ろしく嫌悪さえ感じるのに、その圧倒的な存在感から目を離すことができなかった。小説では文字からしか感じることのできない「金閣寺」の世界観を、目や耳、そして全身にぶつけられたかのような感覚に陥った。主人公の「金閣寺を燃やす」という行為は一見他者には理解し得ない行為のように思われるが、この舞台を観終えた時には、その行為は誰もが共感できる、もしくは誰もが少しは心に抱いている普遍的とも言える「闇」による行為だったのだと、妙に納得していた。
ストーリーの展開に伴って様々に使われる道具、音響・照明効果にも圧倒された。まず道具においては、机や椅子といった限られた物が場面によって壁や門、車というように色々な物に変わることに衝撃を受け、またその移動のスムーズさ、美しさに心を奪われた。次に音響効果については、金閣と主人公が対峙する際に人間の声によって金閣の妖気漂う様子を表している、という演出が印象的だった。照明効果は、四角い照明によって舞台を区切ったり、黒板や壁に映像を投影したりと特に興味深く感じ、また金閣が燃えるラストシーンで、舞台奥から客席に向かってオレンジの光をあてることにより、舞台上をみている観客の顔がまるで金閣を燃やす炎を見ているかのようにオレンジに照らされるという効果に息をのんだ。
様々な面で圧倒され続けた145分間だったが、劇場を後にする時には、「生きよう。」と思える作品だった。
【F高等学校 2年】
金閣寺という作品は、名前しか聞いたことがなく、観劇にあたって衝撃の連続でした。
特に宮本亜門さんの演出が印象的でした。例えば、場面転換。
一見教室のような会議室のような舞台が、お寺や街、林など、次々に変化していくのが見ていて非常に刺激的でした。
また、それと並行して大駱駝艦さんの舞踏も素敵でした。以前芸術劇場で「シレンシオ」を観て以来、小野寺修二さんの作る独特な雰囲気の振りが好きで、今回もワクワクしながら見ていたのですが、あの雰囲気が芝居と二重螺旋のように絡み合って竜巻のように舞い上がる。そのオーラに圧倒されました。
そして、音の演出も秀逸だと思いました。
山川冬樹さんの生み出す音。骨の髄、脳の奥底までしみ届くような、音がなんとも新鮮で、頭の中に荘厳という言葉が自然と出てくる迫力でした。
全体を通して、遊園地のアトラクションに乗っているような気分でした。"身体の乗っけやすい"芝居というのを実感できたような気がします。
私は学校で演劇を学んでいるので、今回の観劇での経験を、今後の活動の糧にして行きたいと思います。
【G高校2年 女子】
自分は金閣寺の小説を読んだことがなかったので、内容を知らないまま新鮮な気持ちで作品を見ることができました。
 まず物語の始まり、会場全体が明るいままで役者の方が語り始め物語がはじまり段々お客側の電気が暗くなる。ここでぐっと金閣寺の世界観に引き込まれました。
後ろの方の舞台セットが全てがっちりしているのでどのように物語が発展するのか舞台が始まる前はとても気になっておりましたが、うまい具合に照明と大道具が使われていて、学校の教室なのにお寺の中に見えてお客を信じ込ませるとはこういうことなのだと思いました。
自分は一番後ろの一番はじに座っていたので、役者の表情はほとんどうかがえませんでしたが、
役者の身体の使い方、声のトーン、遠くにいるからこそ見える迫力のある照明、舞台回転で楽しませていただきました。
これは自分は急になる大きな音がダメなので最後の方は少し辛かったです。大きな音によって迫力や恐怖感も感じられるとは思うのですが、この舞台からは音をそんなに大きくしなくても迫力を感じられる、そういう風に感じました。
【H高校3年 女子】
金閣寺の美にとりつかれた主人公、溝口の一人称告白体で進められ、事件の動機として溝口のもつ重度の吃音を核に「金閣寺放火事件」至るけいかを観念的に描いてゆく、三島由紀夫の「金閣寺」という作品を、今回私は初めてみさせていただきました。最初、舞台セットは壁やドアに囲まれ、黒板と机やイスがあり、蛍光灯がぶら下がっているという教室のような部屋から始まりました。途中、場転などでセットがかわりますがだいだい壁がありました。それが最後で、溝口が金閣寺に火をつけた瞬間、金閣寺と書かれた黒板は倒れ、囲っていた壁ははずされ、舞台上の広い空間ひは沢山の橙がかった照明がてらされたことに、物凄い迫力を感じました。舞台で表現をするということは、役者だけではなく、舞台上のセットや照明、音響、全部あわせて表現するものなのだと再認識させられました。
【I高校 3年】
当然のことながら演技中の足音をたてない、舞台装置を動かす時に音をたてないなど当たり前のことがしっかりとできていることに驚くとともに改めて基礎がどれほど重要なのかということを思い知らされました。
装置を動かしている人たちの動きも無駄のないキレのあるものでついつい見入ってしまいました。そして、役者の方々のそれぞれの役のその時々の心情が伝わってくる真に迫る演技により私はこの劇に引き込まれてしまいました。
更にはセットの壁やテーブルをスクリーンの代わりにして映像を投影した、劇と映像のコラボレーションが違和を感じさせることなく存在している様は率直に素晴らしいと感じました。
「次の場面はどんな展開になるのだろうか。」と、夢中になって見て劇に引き込まれました。
終始とても面白かったです。
【J高校 3年】
自分がいかに未熟者で努力が足りていないのか思い知らされました。
劇中で本当にご飯を食べたり、煙草を吸ったり、初めて見たので驚きましたが、リアルな感じがしました。原作を読んだり調べたりせずに見させていただいたのですが、ストーリーも分かりやすくとても楽しかったです。
本を読むのが苦手だったりする若い人にとって、目と耳で入ってくる演劇で表現してもらえることは有難いことだと思います。私にとっても、主人公に共感できる部分があったり、こういう考え方をする人がいるのかと発見もあったり、考えさせられる話でした。
もちろん、文学作品が好きな方にも見ていただきたいですが、こういった文学作品に興味がない人に見ていただき、自分自身についてよく考えるきっかけになって欲しいなと思います。
【K高校 2年 男子】
はじめに全体的な感想として、この劇の主役の本当に主役なのか、実は悪役ではないのかと疑いたくなるほどの、人間の醜い部分がとてもよく出ていて、大きな感銘を受けました。
未熟な高校生の私には少し難しい話でしたが、感情をむきだしにして舞台を走り回ったり、照明や舞台装置を大胆に使った演出は主人公溝口という人間性そのものが出ていて、客席に座る私にも主人公になったかのような感覚に陥らせ、大いに劇にのめり込むことができました。
この劇の中でも、溝口が柏木に金を借りて旅に出て、今までの回想を見る場と鶴川の真の死の理由を聞かされる場はとても強く印象に残りました。最初と繰り返しになりますが、どちらも人間の醜い部分が強く出ていて、とても感動しました。あのような好青年でもつまらないことで気に病んだり、決して悪い人間ではない主人公も間違った選択をすることもある、そしてそれも当たり前の事であるということを改めて学ばさせていただきました。
そしてこれらは高校生の私のメンタルを大きく成長させてくれたと確信しています。私はこの劇をもっと多くの人々にも観て欲しいと思いました。
【L高等学校 2年 女子】
金閣寺は私にとても強い衝撃を与えてくれました。
まず、呆気に取られたのが音響、照明、舞台セット、役者の全てが完璧に計算され尽くされていて、寸分の狂いもない劇の運び方だったということです。
どれか一つでも狂えば劇全体が大きく歪んでしまいます。しかし、歪みが全くなく、途方もないくらい練習したんだなとひしひしと感じました。
そして、最後の金閣を燃やすシーンは多分、一生忘れないで頭の中に残って行くとおもいます。溝口の狂気が視覚から、聴覚から、全身に伝わってきて、本当に怖かったです。
しかし、序盤からのスピードに頭がついていかず、混乱したり、理解し切れなかったところが多々ありました。帰り道ずっと考えていた中で、今は理解し切れなくても、きっと日々の生活や、他人とのやりとりのなかで、理解したり、納得出来てくるのではないかと思います。
【M高等学校 2年 女子】
「金閣寺」を観させていただき、舞台と人の美しさを深く感じ、そしてガツンと殴られるような衝撃を体験しました。
山川冬樹さんの人間じゃない何か、概念ような存在感と、大駱駝艦さん達の鳳凰を受けてからの空気の出し方や動きが相まって一つの生き物となり、荘厳で強く蠢く美しさを体一杯に受けました。
印象深いのは柳楽優弥さんの最後の台詞「生きよう」です。それまでのモヤモヤというか抱えていたものが、サッと吹く風を受けてストンと抜け落ちたような気がして、その台詞の力が不思議でした。
また舞台装置、道具、人の振りが美しく計算されていて、一つの舞台で起きていることとは思えませんでした。冒頭や溝口が花の師匠や和尚を追いかける場面、竹林の場面など転換の美しさを感じました。
「金閣寺」で学ばせていただいたことを、これからの様々な場面で活かしていきたいと思います。
【N高校2年 女子】
私は、この「金閣寺」を見て、とても迫力があり、舞台が流れるように綺麗だなと思いました。私は中学、高校と演劇部に所属していてたくさんの舞台をつくったり、プロの舞台も見たりしてきましたが、こんなに演劇と映像みたいなお話を組み合わせたような舞台は始めて見ました。感動しました。舞台上にある大道具などをいろんなものに変えていろんな場所を表現したり、音響や照明を最大限使っていて、決められた大きさの舞台での可能性を広げて行くように感じました。演劇ってこんなにいろんなことが出来るんだと、勉強にもなりました。高校生の私には新鮮で、いろんなものを吸収するために必死で見て楽しかったです。しかし、演出が凄すぎて役者さんの演技が舞台に飲み込まれているようにも感じられました。舞台が大きくて、席が遠かったのも理由にあると思いますが、話を追うことと演出に感動しただけで役者さんがあまり印象に残らなかったことが残念でした。
【O高校1年 男子】
まず観客の多さ、会場の広さに驚きました。普段観劇に行く際の劇場はどちらかと言うと小劇場と呼ばれる場所が多いので、今回の赤坂ACTシアターには場違い感さえ憶えました。僕は三島由紀夫の『金閣寺』の原作を読んだことが無く、ホームページのあらすじ位は読んでから見ようと思っていたのですが結局それも読まず仕舞いだったのでほぼ事前知識の無い状態で見ることになりました。まず僕の中には「三島由紀夫」というだけでどこか敷居が高く感じる部分がありました。しかし、休憩含め3時間程の劇を見終わった後ではなにか『分かる』部分があったと感じました。もちろん『金閣寺』の全てを理解し敷居が全て取っ払われたなどとは言いません。だけどやはり僕は『金閣寺』という作品が『分かった』気がするのです。「少年たちの魂の叫びを聴け」というキャッチコピー(すいません正確には憶えてません)通りに三人の少年を主軸としたこの劇。僕が今少年であること。そのことがこの『金閣寺』という物語内の架空の人物、しかも生きている時代すら違うという溝口たちとの繋がりなのかなと感じました。この作品と出会えたのが僕が少年である今であったことを嬉しく思います。
【P高等学校 3年】
初めてゲネプロを見学させていただいて、滅多に経験できないことだったので舞台の裏側を見ているような感じがして、とてもわくわくしました。原作は三島由紀夫さんが書かれたお話と聞いて、初めは難しいお話なのだろうなと思っていましたが、思ったよりも難しく感じないで観ることができました。前の方の席だったのもありますが迫力がすごく、圧倒されました。
途中途中、机や椅子などの舞台上の装置を使って様々な場面に合わせた装置となっていくのを観て、次はどうなるのだろうかととても気になりました。金閣寺を放火する場面や金閣の幻影が現れる場面などの照明がとてもかっこよかったです。
それから、お寺での一日の生活を紹介する場面は面白くてとても印象に残りました。
【Q高等学校 3年 女子】
圧倒されました!!!
劇中ずっと、魅せられっぱなしです。
世界と関われない溝口の孤独が、自分にまで伝染し、息がつまりました。
もし僕が彼だったなら、ずっと生きた心地がしなかったのではないか。そう思います。
だからこそ、金閣を燃やし初めて世界に干渉できたとき、溝口はやっと「生きようと思った」のではないか、と考えました。
そんな金閣が、劇中では人間をもちいて表現されています。これまた素晴らしい演技でした。金閣役の男性が放つ、なんとも表しがたい声に、ゾクゾクしました。
最後のシーンでは、心の底から恐怖を覚えました。抵抗するかのような唸り声が鳴り響くなか、とても自然に、寒気を感じたのです。
「溝口の世界から観た金閣」が、完璧に具現化した瞬間でした。
怖くて、それでいて、とてつもなく美しい場面でした。
美についてを、とことん突きつけられた気持ちです。自分の人生にとって、大切な時間となりました。
【R高校】
まず、内容が難しくあまり理解できたとは言えなかった。なので、あまり内容のことは言えません。まず音響なのですが、少し大きすぎる感じがした。突然大音量で音が流れ出すので、恐る恐る見ることとなってしまった。しかし逆に言えば、会場全体が震えるような(実際かなりビリビリ来た)音響は非常に迫力があった。が、やはり少し大きすぎた。次に舞台装置についてですが、ラストシーンで舞台の床が移動した時、実際は後ろから3番目の席だったにもかかわらず、舞台がものすごく近くに見えた。なぜかは全く理解できないが、舞台が広がったように感じられた。これを狙ってやっていたのだとしたら、是非その理屈を教えて頂きたいです。最後に少し内容に触れてみたいと思います。柳楽優弥さんの演技がとても役にあっていると思った。とくに、劇中に多々ある独白シーンに、主人公のひねくれ、拗れ、卑屈で、今にも壊れそうな性格を実によく表現していると思った。以上が僕の、「金閣寺」を観た感想です。
【S高等学校 3年】
私は観ていて、息苦しさ、孤独、やるせない気持ちが伝わってきた。しかし楽しんでいる自分がいた。例えるならば、台風や大地震のときに、心の奥でその状況を楽しんでいるような感じ。それは、現実では起こらないことが舞台で起きているからだと思った。しかし、主人公の心情の描写はリアルで共感するところもあった。又、舞台の使い方がすごいと思った。特に最後の金閣寺が燃えるシーンは、圧巻だった。目まぐるしくセットが動いて、遠い席だったのに飽きなかった。
まるでアトラクションに乗っているかのようだった。
【T高校 女子】
「金閣寺」でやはり最も印象的なのはあの圧倒的なライブパフォーマンスだと思います。1日2日たってもなお少しも頭から離れません。全体を通してもどのシーンも鮮烈なものばかりでしたが、特に溝口が女性と肌を触れ合おうとする際に出てくるあの鳳凰のパフォーマンス、声には照明のインパクトともあいまって正直恐怖さえも覚えました。夢に出てきそうです(笑)
今までどの劇を観たときも、演出に関しては"あぁ、こんな演出方法があるのか。次の劇を作る際の参考にしよう"などと考えることが多かったのですがこのシーンはそんな少しの冷静さも皆無になり、何かをみていてこんなにも感情的になれるのだと、恐れ多い発言ですが、舞台の可能性というのは本当に底が無いのかもしれないと。ただただ感服していました。
この舞台は、先程も述べましたようにライブという印象が強いです。舞台が変わる時に板や机を色々動かして工夫を施す際、それらを動かす人達の無駄のない動きや違和感なく溶け込んでいる様が興味深かったです。竹の中の演出も驚かされました。上から降りてくることによってどんどん竹の中に入っていく感じが。そしてどことなく二人の距離が縮んで行っているようにも感じました。とても好きなシーンです。そして、テンポがあるなとも思いました。特に寺での修行の場面のテンポが良かったのは勿論ですがその他でも目眩く場面の移り変わりで観ていて引き込まれる、いや呑み込まれるみたいな感じですね(笑)それほどの吸引力?高揚感を覚えました。
演技の面ではどの役一つ一つもインパクトが強くそれでいて見事に調和が取れていました。どのような練習してるのか観てみたいくらいです(笑)道詮和尚さんや溝口の母、柏木や鶴川などもその人が生きたオーラというか、背景がひしひしと溢れ出て感じられて、流石でした。特に鶴川や柏木に至っては一番好きな人物達です。演じてみたいなとも思うほどに。鶴川の綺麗で正しくて不安定で脆い感じが最初のシーンからどことない違和感を溢れさせながら爽やかでいたのをみて、深く感動しました。柏木は兎に角好きです(笑)柏木の逞しさというか汚いようで繊細で、、まだまだ沢山ありますがつまり、水橋さんが柏木なのではないか、と(笑)それくらいの人間味の強さでした。
そして鳳凰やダンスや移動などを行っていた人達、お坊さんなども細かい所作まで本当に自然で。演者の方々も"この人この動作しそう!"と納得するところが沢山ありました。
柳楽さんの最後の金閣寺を燃やした際に憑き物がまるで取れたかのようなシーンは、あの一瞬で溝口の願いや欲望、人生が全て流れ消えたかのように感じられました。そしてそのあとの打って変わった用に客席に座る場面。演出としても溝口が普通になったんだと。普通に汚れることが出来るような人間になったんだと思わせられました。金閣寺という最も執着し、愛してやまなかったものを失い憑き物が取れた溝口が別人格になるという。溝口ではあるのは勿論なのですが、生まれ変わったかのように感じられたのです。そして最後にはこの人はこの後の人生こんな風に生きるのかなと無意識に脳裏に植え付けられました。人が変化する様を演じてここまで完成度が高いのは凄過ぎだと思いました。
ただ今回どもりの為なのか一人語りの所の台詞が聞こえにくい所が多々あって、溝口の心情というのがあまりわかりにくかったところではありました。共感しにくかったからか、溝口が旅に出て過去を思い返し、決意をした場面が少しわからなかったです。「金閣寺」は原作を読んでおいた方がより一層この舞台を楽しむことが出来たのになと少し後悔しました。でもやっぱり舞台演劇だからこその表現は圧倒的で衝撃でした。興奮冷めやれぬまま家路に着き、思い返すとどれほどなのか後からじわじわと来るものばかりです。
パンフレットも読んだのですが役者の熱意や役に対しての意気込みがこのような素晴らしい劇を作り上げる肥料なのだな、と思います。
拙い文章で長々と言ってしまいましたが、(400字とかもう調べてられません。ごめんなさい。)「金閣寺」本当に面白かったです!純粋にずっとこの先も絶対覚えているような思い出になりました。
 
舞台『金閣寺』は4月19日(土)まで、赤坂ACTシアターにて上演中!当日券は開演の60分前より赤坂ACTシアター受付カウンターにて販売しております。
たくさんのご来場お待ちしております!
Skinkakujihonchira
 
[O]
 

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