PARCO劇場初お目見えの劇作・演出タッグは心の奥底にある危険な「色気」を目覚めさせる!?

PARCO劇場初お目見えの劇作・演出タッグは心の奥底にある危険な「色気」を目覚めさせる!?

2022年8月26日(金)

 「tsumazuki no ishi」という名の劇集団のチラシは、ビジュアルとそこに記された文言、自分の中でその両方を掛け合わせ、こねくり回すように深読みしてもなかなか具体的に作品がイメージできない不可解な魅力を放っていた。そのうえ観劇した後も、設定や内容を未見の他者に上手く伝えられる気がしない(編集者でライターという仕事にも関わらず、だ)。キャラが濃すぎて狂気すら感じさせる登場人物、四次元的に不可思議な劇空間、人間の心身の暗部にグイと手を突っ込みドロドロとした中身をぶちまけるようなドラマ。作家であるスエヒロケイスケの、破壊と暴力と虚無と黒いユーモアが混在する作品世界を、絶妙の距離感で演出すると同時に俳優として、時に全裸も辞さず体現していたのがtsumazuki no ishi主宰の寺十吾だった。
 
 寺十吾は名古屋の重鎮劇作家・北村想の信頼が厚く、北村書下ろし戯曲を外部プロデュースで手掛けるなど演出家としての活躍の場を広げていったうえ、俳優として大河ドラマなど映像作品でもその存在を多くの耳目に焼きつけていく。
 
 そんな寺十吾が「西瓜糖」という雅な文字面の演劇ユニットで演出を手掛ける、と知って観劇したのが2018年の『レバア』だ。劇作家:秋之桜子は元文学座の女優・山像かおりの二つ名。終戦直後、多くを奪われて欠落を抱えた人々が集い、己の暗部を交感し合う官能的な痛みの物語は劇場空間に満ち、甘く苦いドラマの後味は帰途いつまでも胸から消えなかった。作品はもとより、作家と演出家の相性の良さにノックアウトされたのだ。それまでにもあった寺十×秋之タッグを見逃していたことが、先に立たぬ後悔になったのは言うまでもない。
 
 劇作家・秋之と演出家・寺十は、共に「色気と艶」を創作上の武器にしていると筆者は勝手に考える。秋之が紡ぎ出す登場人物たちは性差や年齢に関係なく、みな肌の匂いや温もりが舞台から感じられるなまめかしさを帯びている(それを演じる俳優・山像の艶やかさも堪らない)。それら男女の佇まいと絡み合いを戯曲から丁寧に掘り出し、俳優の生の心身と巧みに重ねて命を吹き込むのが寺十の演出。若手からベテランまで、他の作品では見せたことのないような深い陰影、時には滑稽味までを隠し味とする色っぽさが俳優からにじみ出す瞬間を目撃するのは、舞台好きにとって至福の体験だ。
 
 そんな相性抜群の演出家&劇作家コンビが、今秋の『桜文』でPARCO劇場に初お目見えする。明治後期の吉原遊郭を舞台に虚と実、過去と現在を往還しながら舞台を彩るのは、恋情と宿業とが織りなす極彩色の物語。当代随一の花魁・桜雅を乃木坂46の久保史緒里が、桜雅の運命を狂わせる青年二役をゆうたろうが演じる他、石倉三郎、榎本孝明らベテラン俳優の濃密な演技が若い二人を支え、舞台に哀しい運命を鮮烈に刻みつけるはず。
 
 新劇、小劇団の別なく集まった個性も実力も折り紙付きの俳優たちは、秋之の戯曲の挑発を受け、寺十の演出にどう応えるのか。息ができないほど劇場を満たす恋の芳香は、観劇する貴方の中に眠る純粋で危険な「色気」を目覚めさせるかも知れない。
 
 
文・尾上そら
フリーランスの編集者・ライター。新聞や雑誌、書籍、映画や演劇のパンフレットなどで企画・編集・取材・執筆を手掛ける。演劇、ダンス、古典・伝統芸能まで幅広く取材。国内各地の舞台芸術にかかわる様々な人と事象を取材・記録している。
 
写真:御堂義乗 8月中旬稽古場にて撮影 

 

 
 
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【公演情報】
パルコ・プロデュース2022
「桜文」
 
日程:2022年9月5日(月)~9月25日(日)
会場:PARCO劇場
 
作:秋之桜子
演出:寺十吾
出演:
久保史緒里(乃木坂46) /ゆうたろう 
/松本妃代 石田圭祐 阿知波悟美 加納幸和
木村靖司 有川マコト 塾一久
/石倉三郎 榎木孝明 他

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