絶賛ツアー巡演中「VAMP SHOW」!<br>  2001年版キャスト橋本じゅんさんが作品の魅力を語るスペシャルインタビュー!!

絶賛ツアー巡演中「VAMP SHOW」!
2001年版キャスト橋本じゅんさんが作品の魅力を語るスペシャルインタビュー!!

2022年9月5日(月)

ご覧になるみなさんをまだまだ暑い暑い夏に連れていく、
絶対、劇場で観ていただきたい作品です。
 
 
 21年の時を超えて今、再々演中の『VAMP SHOW』。
 キャストに若手・中堅の注目株が集結。今の彼らにしかできない演技でぶつかりあう姿からは、この作品が内包する笑いと恐怖の普遍性が伝わってくる。
 2001年版に丹下和美役で出演、今回の再々演をとても楽しみにしていたという橋本じゅん。その彼に2022年版を観劇した感想をインタビュー。新演出と新キャストに感じたこと、そして自身にとっての『VAMP SHOW』と当時の思い出を語ってもらった。
 
 
――今回の『VAMP SHOW』を観劇されていかがでしたか。
 満員のお客様が大喜びされていましたし、この作品を客席で観るのは初めてですが「すごいものを観た!」と思いました。初演が1991年なので、時代に合わせて服を着替えた部分はありますが、戯曲の骨格が持つ強さ、怖さ、面白さは揺らぐことなくそこにある。そのすごみにまずゾクっとしました。そしてキャストのみなさんの、観る者を『VAMP SHOW』の世界へ連れていってくれるエネルギーにガキーンと打たれましたね。僕は昼公演を拝見しましたが、夜公演でもう一回これをやるのかと思うと驚きますし、かつて自分がこの作品を出演していたなんて、嘘みたいな気がしてきます。
 
――橋本さんが出演された再演(2001年)のときはどうでした?
 1ステージだけの日曜公演とかは、まだ明るい渋谷の街を鼻歌歌いながら「今日は1回で帰っていいんだよ〜ん」と、釣り具屋さんに寄り道して帰ったりしていましたね(笑)。
 
――(笑)。河原さんの新演出の感想も教えてください。
 照明と音がとてもソリッドになったと思います。そしてこの作品には変えられないもの、いじってはいけないところもあるんですね。そこは歌舞伎のような感じというか、再演でリーダー(河原雅彦)がやっていた動きが今回も随所に見られたので「再演を知るリーダーだからこその演出だな」と、愛おしかったです。当時は僕らもしんどかったですけど、その分キャストのみんなとガッツリつながれたんですよね。伊藤(俊人)さんは早くに天国に行ってしまいましたが、彼のことを忘れることは決してないです。だから尾上くんが見事に演じた、新たな野田の姿も愛おしかったです。作品が持つ息吹、スピリットは以前から変わらないので、これは観ないわけにはいかないでしょう。僕も少なくともあと2、3回は観に行きたいと思います。
 
――時を経て、何度も再演される強さを持つ作品だと。
 しかも今回は、当て書きの要素が強かった初演、再演とはまた違う観点から組み立てて成功していますから、その意義は非常に大きいと思います。もちろん僕も再演の『VAMP SHOW』を愛していますし、あのとき演じた丹下にもプライドを持っています。ですが、今回のキャストの方々も、最初は『VAMP SHOW』という大きな樹に恐る恐る近づいて、最後はそこに秘密基地を作るではないけど、登ったり落ちたりしながら見事に遊んでみせて、作品を表現してくださっている。そこに今回の再々演の価値があるのではないかと思います。
 
――今のお話を伺うと、初演や再演をご存じの方もご覧になりたくなると思います。
 前に観たものの印象は強く残りますが、それはもう二度と戻らないものですからね。当時の映像もありますが、それはまた客席で観るものとはまったく別作品だと僕は思うんです。俳優の熱量だったり、汗の量だったり(笑)、これはもう劇場に足を運んでいただいて、ぜひ客席で観ていただかなければ。新しくなったPARCO劇場も非常に快適なので(笑)、劇場でしか味わえないものをご覧いただきたいです。
 
――橋本さんは、この作品が再々演されるのをお知りになって、演出の河原さんに電話で思いを語られたと伺っています。ぜひその思いの丈を教えていただきたいのですが。
 この作品への思い入れは非常に深いです。最初にドラマで共演した(戸塚)純貴から再々演すると聞いたんですが、「やるんかい!」と腰がくだけそうになりました(笑)。ある意味、これはもう封印された作品で、自分も再演の仕上がりにプライドを持っていたから「あれが完成形でしょう」と思うところもありました。でも、純貴のことは以前から素敵な俳優さんだと思っていましたし、その純貴から「じゅんさんがやられていた丹下をやるんです」と聞いたときに「おぉ! 楽しみにしてるわ!」という言葉が素直に出てきたんですよね。「大変だと思うよ」とは言わなかったですけど(笑)。
 
――橋本さんにとって、やはり大変な作品でもあったわけですね。
 いろいろと仕掛けが多かったですからね。たとえば堺(雅人)くんが僕の胸に杭を刺すシーンがあって、その杭は相手に当てて押すと先端が引っ込んで、刺さったように見えるものだったんです。でもあるとき、堺くんが杭を僕の胸に押し当てたらうまく先端が引っ込まず、杭がピューン! と飛んでいきそうになって。それを僕が空中でつかんで自分の胸に刺したら、旧PARCO劇場が割れると思うくらい沸きました(笑)。そんな舞台ならではハプニングもありましたし、僕も堺くんも演じているときは相当集中していた記憶があります。どうやったら面白く見せられるかを考えましたし、そこから21年を経てさらに進化した表現を観ることができるのはうれしいです。
 
――今回のキャストのみなさんの印象はいかがですか。
 みなさん、どんどん舞台役者になっていかれていますよね。稽古場にも見学に行きましたが、そのときとは印象がまったく違う。僕らが再演した頃は、身体のケアについて情報がそんなになくて「ケガしたらもうしょうがない」という感じだったんです。漫画『1・2の三四郎』の言葉をもじって「ワンステやってないと思えば、私は疲れていないのだ」と非科学的なことを言っていましたから(笑)。でも、今の彼らは身体管理にも気を配ってアスリートみたいな身体をしている。そんな人たちが舞台役者に目覚めたら鬼に金棒。そんな彼らに演劇の灯を熱く大きなものにしていってほしいです。そしていずれ彼らにも、今回の『VAMP SHOW』が自分たちのエポックだったと思える日が来る気がします。あまりにも段取りが多く、疲れることも許されないこの作品を経験して、彼らの役者のギアが一段上がる夏になるでしょうね。
 
――映像で活躍されている方も多いですし、多くの方に舞台で活躍する姿もご覧いただきたいですよね。
 僕はずっと舞台やってきて、最近は映像作品にも出演させて頂いておりますが、垣根を払いたいんですよね。コントだろうが、ストレートプレイだろうが、ミュージカルだろうが……、映像、映画、ドラマ、どんどんやっていいと思う。彼らにもそれぞれの才能を活かして、いろいろなところでチャレンジしてほしいですし、舞台もガツガツやっていってほしい。そして、みなさんには『VAMP SHOW』も含め、その姿を目撃してほしいです。僕自身この舞台を観て、戻ってこないはずのあの夏にまた出会えましたし、きっとご覧になるみなさんをまだまだ暑い暑い夏に連れていってくれる作品だと思います。
 
インタビュー:小杉厚 
 
 

 
【公演情報】
パルコ・プロデュース2022
「VAMP SHOW」
 
 作:三谷幸喜
演出:河原雅彦
出演:岡山天音 平埜生成 戸塚純貴 塩野瑛久 尾上寛之 久保田紗友 菅原永二
 
東京公演/PARCO劇場
2022年8月8日(月) 〜2022年8月28日(日)
 
愛知公演/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2022年9月1日(木) 〜2022年9月2日(金)
 
大阪公演/森ノ宮ピロティホール
2022年9月10日(土) 〜2022年9月11日(日)
 
福岡公演/キャナルシティ劇場
2022年9月17日(土) 〜2022年9月18日(日)

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