10月30日(土)に埼玉公演で舞台『ザ・ドクター』が開幕いたしました!東京公演はPARCO劇場にて11月28日(日)まで絶賛上演中です。
今回、スマホアプリ「パルステ!」のゴールド/シルバー会員の中から選ばれた観劇レポーターの皆様より埼玉公演のレポートを頂戴いたしましたので、ここにご紹介させていただきます。
大竹しのぶさんの舞台は、大好きでよく観に行っているのですが、
いつも役になりきる姿に感動しています。
今回は、現代社会の根深い問題である宗教、人種、ジェンダーなどを背景に登場人物たちが自分の思いをぶつけ合うシーンが多くありました。目立った動きがない静の場面では、セリフの言い回し、間の取り方が出演者の方々全員が絶妙で、徐々に白熱してくると舞台全体の熱気が伝わってきました。
個人的には、ディベート番組のシーンがテンポ良く熱気が溢れていて気に入っています。大竹しのぶさんの表情の変化やしぐさもルースそのものでした。
また、前半の研究所のシーンでは、衣装の白衣をはじめ、部屋全体から机、椅子、蛍光灯まで全て白でシンプルであったことにより、登場人物のセリフがより重いものに感じ、心情が見ている側にも伝わりやすかったように思います。自宅のシーンでは照明が暖かいものに変わり、ルースの心の中を映し出しているようでした。
誰もが未来は自分で選択する、そんな世の中になってほしいと願います。
いくママ さん
私はドクターとして間違ったことはしていない。そう。してないのよ。なのに、何でこんなに弾劾されなきゃならないのか。主役の味方で見てしまうとそう思う。
女性で白人で医師で所長でユダヤ人でという立場が、
逆差別で優遇されてないか?自分では気が付かない権力を色々と持ち合わせているがゆえに、弱い側(と自分達が思っている人々)から、
民族差別や男女差別、ポリシー。を理由に突上げられる。
「オレアナ」という作品では、男性で大学教授で身体も大きく。という立場の人間が同じように弱い側から突き上げられていたが、今回は女性版か。
登場人物は様々な立場の人が居て、それぞれがちょっとずつその立場に傷付いている。
ルースのセリフにある、先祖の責任を私が取らなきゃいけないの?
という疑問は私もいつも思っている疑問の一つ。
この、なんでも持っている様に外から見える彼女もプライベートでは同性愛でパートナーを普通ではない方法で亡くしていて囚われている。
一見、強い立場にいる彼女にも色んなものを抱えているんだ。
どちらの立場にもなり得るのだ。想像力というのは生きていく上で、社会の中で不当な扱いをしない、させない為には必要なんだと、考えされられた。
最後に神父と和解するのだが、彼が言った一言「残念です。」が引っかかった。どの口が言うんだ!と。
少し小さめの空間で観たかったように思う。役者一人一人が立場を体現していて、嫌な役回りやら、日和見主義やらを旨く表現してくれている。その役者さんを嫌いになりそうな位に上手い(笑)。
シンプルな空間美術が精神的に追い詰められるルースの空っぽな心情を旨く表現している様に感じた。
2度見たらまた、感じ方は変わるんだろうと思う。
mikaru さん
正直者のルースが一幕の早いタイミングでこてんぱんに叩かれたので、いつ救いがあるかとみていましたが、息つく暇もない膨大なセリフで人種、宗教、ジェンダーなどの問題提起がされ現代劇ならではのテンポの速さで彼女やそれを取り巻く人達の人間性が浮き彫りになっていくのが凄かったです。最後は結局たいして救いもなく幕となったのは、私達にそれらの問題を身近なものとして考える機会を与える芝居だったんだと感じました。
Nancy さん
緊張感のある場面が続き、息をするのも忘れてしまう様な舞台でした。
宗教の問題は、日本人には少し実感しにくいのではと思っていましたが、場面が進行するにつれ、何故かわからなくても、その立場の人の気持ちが理解出来る様な気に
なってしまう。
観ているだけで、その世界に引き込まれていました。
ルースが最後にライス神父やチャーリーと話すシーンは、1幅の絵の様に私には見えました。
ルースがあの時は医師の前に人になっていたからなのか。
人種やジェンダー、SNS等色々な事を考えさせられる、本当に観劇出来て良かったと思った舞台でした。
ラストシーンのセリフを聞いた瞬間に鳥肌が立ちました。
サクタロウ さん
最後のドクターと神父、2人のシーンがとても印象に残った。
職場で家庭で、自分の立ち振舞い、行動、発言を考えさせられた。
ぱる子 さん
日本初演とのことで、公演ホームページのあらすじをざっと読んでの観劇。
人種差別,カトリック,ユダヤなど私には身近でないテーマのところは気持ちがあまり入っていかなくて、長いなと感じました。
休憩後、後半はルースを責め立てるディベート番組のシーンから始まります。
そこからは釘付けでした。匿名で人を責め、自分を正義のヒーロ化し、現代社会の嫌なところを見事に描かれていました。観ていて怒りがこみ上げる位でした。
SNSで誹謗中傷して満足してる人に観てほしいです。
大竹しのぶさんは圧巻です。前半の上から目線の医師、後半の責められ弱っていく様子、素晴らしかったです。
普段は笑える楽しいお芝居を観ることが多いのですが、今回の様な社会派のテーマもグッと心に残り良かったです。
まるこ さん
観終わって一晩経ったいまもぐるぐるぐるぐる考えています。
信仰の違いによる考え方とか日本では馴染み深くなく。。。。
進行していくに従い、この人は白人 この人はユダヤ人 この人は黒人とわかっていく。
ここ数年ブラックフェイスにしないという時代の流れがあるのは理解しますが、少しわかりにくかったです。
なんて壮大なドラマ。
素敵な戯曲に出会えて幸せでした。
若干セリフが聞きにくかったので、一回り小さいPARCOだとまた少し違うかなと思いました。
なんとか時間作ってPARCOにも伺えたらいいなと思っています。
そら さん
正義は見る角度によっていくらでも形を変える。
情報網が発達して、この世界は自分が思う以上に多様性に満ちていることを知り、そしてまた一般の人々でも自分の意見を気軽に発信できるようになった今、前述のことを常に念頭に置くようにしている。
しかし、正義だと思っているそれは本当に正義なのか。
正義によく似た顔をした、自己を正当化したい、高い位置に置きたいという欲望ではないのか。
討論会でルースを責め立てる各界の知識者たちの主張を聞いていて、ふとそんなことを思った。
そしてどこにも属さずフラットであるつもりの彼女もまた、社会に身を置くうちにいつの間にか他者によって様々な鎧を着せられていたことに気付く。
人種や宗教、職業、ジェンダー… 鎧を剥ぎ取られてゆく彼女の姿が印象的で、大竹さんが演じてくださってよかったな、と思う。
日本語ではあまり使われないような台詞回しに最初のうち違和感はあったが、上演回数が増えるにつれて台詞と演者が馴染んでゆき、日本版ならではの「ザ・ドクター」となってゆくのだろう。
終演後、解けない知恵の輪をひとつ手渡されたような気持ちで駅までの道を歩いた。
でもその手触りは決して悪くない。
常にポケットに入れて、時々そっと触れて、考え続けてゆきたいと思う。
笹本 環
膨大な台詞、シンプルなセット。
このセットがすごくて、病院になったり、自宅のお部屋になったり。
翻訳劇で、お芝居に入り込むのに少し時間がかかったのだけど、落ち着いた1幕から圧倒的な展開の2幕まで、大竹しのぶさんはもちろん役者さんたち、すごかった。
1幕は俯瞰的に、2幕は心の中に登場人物たちの思いがグサグサと入ってきた。それぞれの信念や信条があるから、何が正しいか、間違っているとか、わからなくなってきて。それぞれの登場人物に感情移入ができた。
人種問題や宗教や、多様性が、全ての役を日本人が演じることでかえって浮き彫りになってたような気がする。
そして自分自身のアンコンシャスバイアスを否応なしに思い知らされた。
ぶらっきー
皆様、ご来場とレポートありがとうございました。またのご応募をスタッフ一同心よりお待ちしております!
舞台「ザ・ドクター」は2021年11月28日(日)までPARCO劇場にて上演いたします。
その後は、兵庫、豊橋、松本、北九州にて上演いたします。
詳細は下記作品ページより各公演ページをご覧くださいませ。
https://stage.parco.jp/program/doctor/
沢山のご来場お待ちしております!