PARCO劇場 ビューティ・クイーン・オブ・リナーン

大竹しのぶ otake shinobu
加代ちゃんと芝居するのは13年ぶり。日生劇場でやった『虎―野田秀樹の国性爺合戦』以来ですね。
だからすごく光栄だし嬉しい。圭史君とは役者同士として『奇跡の人』(03)で共演したのが最初。すごくヒネたヘレン・ケラーのお兄ちゃんでピッタリな役だったんですよ(笑)。で、そのときからすごく「人間として面白い人だぁ」と思っていたので、『イヌの日』『エドモンド』など彼自身が手掛けた作品を観に行ったときにも、すごく圭史君の人間としての味が細やかに見えてきて面白かった。しかも本当に丁寧に演出されるし。だからまだ32歳でとても若い彼ですけど、今回も自信を持って演出してくれるんじゃないかと思います。マクドナーの作品は一度も観たことがないんです。だけど今回の脚本は本当に一気に読めました。しかも、あんまり怖いとは思わなかった。
それよりもアイルランドという国の、日々”考えること”ぐらいしかやることがない閉鎖感とか。母と娘の関係性とか。そういうことがちゃんと面白く読みとれた。私はよくできた本の場合はどんなに惨いセリフでも、喋っていると幸せを感じるほうなので。きっと今回も、楽しく幸せにお稽古に臨めると思います。
白石加代子 shiraishi kayoko
今までがっぷり四つに組んでしのぶちゃんと芝居することがなかったので、オファーを頂いたときには「ああやっと一緒にできるな」って。もう生涯ないかと思ってたので(笑)、すごく嬉しかったです。圭史さんの作品は『桜飛沫』を観たことがあるんですけど、すごく人間のティテールを面白く描かれるのね。しかもその人間に対する感覚が若いとか今っぽいとかいうよりも、どちらかというと私たちの世代感覚に近くて、とてもすんなりと楽しめた。ただ私はこういう日常会話的な芝居を、今まで本当に数本しかこなしてきていないから。そこはちょっと今回、しのぶちゃんと圭史さんのお二人に胸を貸してもらって……「お願いします!」と。マクドナーさんの戯曲には初めて触れたんですけど、なんていうか、表立って進行していく物語の裏側に、べったりともうひとつの感情の流れが張りついている感じっていうか。言葉のやりとりとは別の流れを作者がちゃぁんと用意してて、それを稽古場でひとつひとつ読み解いて行くのがとても楽しそうなんです。あと実は私はこれが初パルコ出演になるので(笑)、それもまた楽しみです。