INTRODUCTION
1977年にパルコ劇場(当時西武劇場)で初演された伝説の舞台『中国の不思議な役人」を32年ぶりにパルコ劇場で上演いたします。
本作品は寺山修司がパルコ劇場のために初めて書き下ろし、伊丹十三、伝説のモデル・山口小夜子らをキャストに迎え、話題を集めました。
今回は本作品を、白井晃ら「今」を生きるクリエーターたちの手で蘇らせ、「今」のテラヤマ・ワールドを創作いたします。
ベーラ・バルトークが書いたパントマイムのための舞台音楽としても有名な「中国の不思議な役人」。このオリジナルの脚本はレンジェル・メニヘールによって書かれております。1977年、これを基に寺山修司が独自の視点で「テラマヤ版 中国の不思議な役人」を創り上げました。
今回演出に挑むのはパルコ劇場初演出となる白井晃。常に戯曲と真摯に向き合い、独特の視点でその世界を読み解き、スタイリッシュな舞台を創作し続けている白井晃が、寺山作品に初挑戦します。音楽は、パリを拠点に活躍し、ピナ・バウシュ、パトリス・ルコント等、世界中のアーティストから絶大な信頼を得ている三宅純が新たに曲を書き下ろすことも注目のひとつ。そして、演劇実験室「天井桟敷」の美術監督として寺山作品のビジュアル的側面を担い、そのシュールな世界を創り上げてきた小竹信節が美術を担当。振付には海外公演も多く公演を行っている小野寺修二といった豪華な才能が集結いたしました。
出演はタイトルロール「中国の不思議な役人」に平幹二朗。紫綬褒章、旭日小綬章に輝き、昨年『山の巨人たち』で二度目の読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞を受賞した日本を代表する名優が、初の寺山作品に挑みます。共演はその演技力と存在感で、変幻自在にキャラクターを演じ、2003年の『 青ひげ公の城』で「第3の妻」を好演した実力派の秋山菜津子、作家・演出家・俳優と多面の顔を持つ岩松了。そして白井晃がこだわり抜いたキャスティングで、劇団☆新感線の吉田メタル、毛皮族の町田マリー、オペラ界の有望新人吉村華織から大駱駝艦のメンバーに至るまで、パーフォーミングアーツの世界で独特の活躍を続ける個性溢れるメンバーが揃いました。
そしてヒロイン「花姚(かちょう)」には、今、人気急上昇の夏未エレナを大抜擢しました。寺山修司の言葉の世界に魅了された15歳の少女が、自ら舞台でその世界を体現します。寺山作品に果敢に挑むその姿勢は大物女優の器を感じずにはいられません。
そしてヒロインの兄「麦」には田島優成。TPT『いさかい』での好演をはじめ、着実に目標を見定め階段を登っている田島が、おそらく観客の視点となるであろう「麦」という大役を務めます。
演劇界の「ネクスト」となるであろう、なってほしい二人がみずみずしい感性で寺山をどのように咀嚼し、血肉にしていくのか、そしてそれが舞台にどのような奇跡を生み出すのでしょうか。
パルコ劇場では2003年より、過去の名作戯曲を「今」を生きるクリエーターによってあらたな視点で創作する「新」スタンダードシリーズとして、『 ベント』、『 ドレッサー』、『 トーチソングトリロジー』、『 フールフォアラブ』を上演いたしました。今回は寺山修司がパルコ劇場に書き下ろした本作を、白井晃が、21世紀を生きる私たちの視点で創作いたします。三宅純をはじめとするエッジの効いたクリエーターたちとともに、舞台でとびきりスリリングな化学変化を見せてくれることでしょう。
三宅純が描く音楽世界のような、まさに「異種交配」による『中国の不思議な役人』。
パルコ劇場の大切なレパートリーを、新しい作品として、寺山修司ファンにも、そして寺山修司を知らない世代へもあらたなテラヤマ・ワールドをお届けいたします。
時代を越え今あらたに、そしてネクスト・ジェネレーションへ発信する『中国の不思議な役人』。どうぞご期待ください。 |