斎藤幸子

STORY

“もんじゃ焼”屋が軒を連ねる東京の下町・月島。
もんじゃ焼屋「さいとう」の次女・幸子は、ちょっとピントがずれてはいるが、元気と美貌がとりえの高校生。店主の洋介は、妻を亡くし男手ひとつで娘たちを育てている。
「さいとう」の隣は、もんじゃ焼屋「富ちゃん」。和夫と健一郎という親子で営んでいる。
近所に住むソープ嬢の美奈子を幸子は“師匠”と慕っている。タロット占いから姓名判断まで、その占いはプロ級である。美奈子によると「斎藤幸子」は画数が悪いらしい。
ゲージツ家肌でアーティストとしての才能に溢れた姉・悦子に、どんな恋愛にも満たされないといった心情を吐露する幸子。そんな幸子の前に、高校の担任で音楽教師、澤渡が現れる。「幸せとは僕といることだ」の一言に魅せられ、駆け落ちを決心する幸子。阻止しようとやって来た教頭の村木をはじめ、近所を巻き込んでの大騒ぎとなるのだが、二人は大阪へ行ってしまう・・・。

駆け落ちの末、幸子の人生はどこへ転がってゆくのか!?
そして、月島の人々を襲う事件とは!?

「斎藤幸子」は、東京の下町に場所を借り、昔確かにあったはずの、今からでもきっと取り戻せるはずの、「勝つ」とか「負ける」とかの価値観とは無関係の、可笑しくて、温かくて、切なくて、優しい人間たちの物語です。