初日REPORT到着!『HIROSHI MIKAMI/HEDWIG AND THE ANGRY INCHI【LIVE】』

初日REPORT到着!『HIROSHI MIKAMI/HEDWIG AND THE ANGRY INCHI【LIVE】』

2024年12月11日(水)

12/8(日)に大盛況のなかPARCO劇場公演を終え、12/14(土)から京都・宮城・福岡と巡演する『HIROSHI MIKAMI/HEDWIG AND THE ANGRY INCH【LIVE】』 の、初日レポートをお届けします。(撮影:引地信彦)
 

 
HIROSHI MIKAMI/HEDWIG AND THE ANGRY INCHI【LIVE】
終らない円環のうちにあるHEDWIG~新たなる約束された未来へ
 
 三上博史による伝説的舞台『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』がPARCO劇場に再臨する。しかもLIVEヴァージョンで。
 その一報を聞いた時、身の内から湧き起こったのは歓声のように明るいものではなく、むしろ獣じみた叫びだった。「待ってました!」などと軽やかにはしゃげない、「まさか……」の疑念、「ようやく!!」な感激、「でもどうやって?」の疑問などが渦巻きつつ、最終的には喜びに凌駕されるという混乱。そんな叫びが自分の内側にあったことは、半世紀以上生きてきた中での、ちょっとした発見だった。
 日本初演から20年。「お祭りにできるし、待ってくれてる観客もいるよねきっと」と当のご本人は最初、ライトな感覚だったという。けれどアノ時、三上博史が創造した彼にしか歌い演じることができないオリジナルのヘドウィグと、愛すべき音楽仲間たちによるロックバンド・アングリーインチのPLAYに参戦し、悦楽の頂点で完膚なきまでに叩きのめされた〝みんなたち〟にとって、このLIVEは祭りでは収まらない想定外の僥倖であり、同時に「約束されていた未来」だったとも言えるのではないだろうか。
 
 そんな秘めた興奮のうちに迎えた東京初日。劇場前には開演はるか前から入場待ちの行列ができた。ロックやドラァグなコスチュームに身を包む人、イツァークのコスプレさん、懐かしきヘドヘッド・クッションを装着した人など、劇場外までヘドウィグ・ワールドがこぼれ出している。
 次に行列ができたのは、開場直後のグッズコーナー。ペンライトを筆頭にヘドウィグ愛に溢れる尖ったデザインの、参戦に欠かせないグッズがセットになったバッグが飛ぶように売れており、〝みんなたち〟の振り切るヤる気が伝わってきた。
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 一歩入って目を向けた舞台は中央に階段、左右にミュージシャンのスペース。そして階段を上り切った高みに人の身長はあろうという巨大な銅鑼(ゴング)がご神体のように鎮座している。
 そう、この銅鑼こそがLIVE開始を告げるもの。鮮やかな色彩でラインを描きつつ明滅する照明に、初演・再演から歌や演奏をコラージュした音源が重なる。氾濫する音と光の中、ヘドウィグ≒三上のシルエットが舞台上部に浮かび上がり、銅鑼へと近づいていく。これまた未就学児の身長くらいありそうなマレット(バチ)を捧げ持ったヘドウィグが、銅鑼の表面に円を描き始めると耳よりも身体に響く微かな「うなり」が起きた。それが少しずつ大きくなると今度はその中心を叩き始め、厳かな「うなり」は熱を帯びたリズムへと変化していく。銅鑼の音色とリズムが劇場に満ち〝みんなたち〟が溺れかけた瞬間、忘れようのないイツァーク≒エミ・エレオノーラ(Piano/Chorus)のアナウンス。横山英規(Bass)、テラシィイ(Guitar)、中 幸一郎(Drums)に新メンバー・吉田 光(Guitar)を加えた最強バンドのROCKと共に、懐かしさなんて感傷を吹き飛ばす強烈な咆哮が劇場を切り裂き、LIVEが始まった。その最初の一音よりも早く総立ちになった〝みんなたち〟は以降、座り方を忘れたように舞台上のPLAYに身を委ね、音と一緒にうねり続ける。
 美麗ながら毒を持っていることを確信させる熱帯の魚のようなウィッグ(赤間賢次郎)、アーマードスーツのような身体強化ドレス(伏見京子)、同じく古の戦士が出陣前に自らに施したソレと見紛う攻撃的メイク(久保田直美/Miho Hamaya)。舞台上には音、光ほか凄腕プランナーたちが感性と技術を注ぎ込んだ空間が出現し、そこに屹立した〝みんなたち〟のヘドウィグは時を越えて完璧だった。
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 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、歌と歌の間を芝居が結びつけていく構造のミュージカル。LIVEでもミュージカル同様の順に演奏されるのだが、「〝繋ぎ〟はどうする?」というのが課題だったはずだ。
 そこは不世出の表現者たる三上博史の真骨頂。歌唱と演技が一体となったシャンソンのごとく、時には無言で、或いは僅かな台詞と芝居で巧みに曲間を紡いでいく。いきなりフルスロットルのTEAR ME DOWN(ティア・ミー・ダウン)後、ヘド様からはジャパン・オリジナル20周年へのお祝いの言葉。2曲目のTHE ORIGIN OF LOVE(オリジン・オブ・ラブ)で早くも愛と哲学の深淵を覗かせ、ポップなSUGAR DADDY(シュガー・ダディ)からANGRY INCH(アングリー・インチ)、WIG IN A BOX(ウイッグ・イン・ア・ボックス)の流れで〝みんなたち〟を鷲づかみに。WICKED LITTLE TOWN(汚れた街)からTHE LONG GRIFT(ロング・グリフト)、HEDWIG‘S LAMENT(ヘドウィグの嘆き)、EXQUISITE CORPSE(とびきりの死体)まで息つく暇も与えぬ怒涛の畳みかけに、〝みんなたち〟は酸欠すれすれ。信じられないことにヘド様のパフォーマンスはアノ時と同じく舞台を飛び出し、劇場全てをそのヒールで踏みしだき、完全に掌握していく。それぞれの楽曲のパフォーマンス、新たなアレンジは是非ともご自身の耳目で、いや魂で味わっていただきたい。
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WICKED LITTLE TOWN TOMMY GNOSIS ver.(汚れた街 トミー・ノーシス・ヴァージョン)で武装を解いたヘド様。呼吸を整え、客席の隅々までに眼差しを送り、ラスト・ナンバーであるMIDNIGHT RADIO(ミッドナイト・レディオ)が始まる。
深く優しく、胸の奥底へとしみこんでいく歌と演奏。フツーであることすら許せない・許されない「REAL」の中で闘い、傷つき、今にも崩れ落ちそうな〝みんなたち〟を慰謝する使命を持つ、誇り高くも重い十字架を背負った表現者たち。その名前が、灯火のように掲げられる歌詞は祈りそのもの。それを歌う三上と不意にイメージの中で重なったのが、三面六臂(さんめんろっぴ)で世界と戦う阿修羅と、喜怒哀楽あらゆる感情を溶かし込んだアルカイックな表情で衆生(しゅじょう)を救う如来だったのは必然だろうか。苦悩の傍らに添う限りない愛が宿る歌には、そんな幻像さえ見せる/届ける力がある。
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 あっという間の80分。けれど、それだけじゃありません。あるんですよカーテンコールが、ふふふふふ。
再び登場した面々はリアルと劇世界のハーフ&ハーフ。三上ヘド様は「欲しがってんじゃないわよ!」と煽り、まずは原曲よりビートと低音の効き目が倍増した80年代ダンス・ミュージック風のアノ曲。続いて作品の象徴である例の曲という流れで、終わりのない円環を描くニクい演出をかまされる。
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 そう、終わらないのだ、〝みんなたち〟の『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』は。だから次の「約束された未来」も、いつか何処かで、きっと、また。
 
 
Text by Sora Onoe
 

 
【公演情報】
PARCO PRODUCE 2024
『HIROSHI MIKAMI/HEDWIG AND THE ANGRY INCH【LIVE】』

作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
訳詞:青井陽治/三上博史/エミ・エレオノーラ/近田潔人
出演:三上博史
演奏:ロックバンド「アングリーインチ」
横山英規/Ba. エミ・エレオノーラ/Pf. Cho. テラシィイ/Gt. 
中 幸一郎/Drs. 吉田 光/Gt.

 
東京公演:2024年11月26日(火)〜12月8日(日) PARCO劇場
京都公演:2024年12月14日(土)・15日(日) 京都劇場
宮城公演:2024年12月18日(水) 仙台PIT
福岡公演:2024年12月21日(土)・22日(日) キャナルシティ劇場
 

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