欲望という名の電車

松尾スズキが近代演劇の金字塔的戯曲を松尾色に演出!

近代演劇史上不朽の名作、テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』を、日本演劇界が誇る奇才・松尾スズキが演出。ブランチ役に現在の日本演劇界を代表する女優、秋山菜津子、スタンリー役に、昨今の蜷川幸雄・野田秀樹演出作で、圧倒的輝きを放つ池内博之、そしてステラ役に映像、舞台で大活躍の鈴木砂羽を迎え、90年代後半以降の日本の小劇場界を牽引してきた松尾スズキが、彼ならではの視点で、近代演劇の金字塔を、日本の現代演劇として松尾色に輝かせる!

「欲望という名の電車」とは

『欲望という名の電車』は、アメリカの大劇作家テネシー・ウィリアムズ(1911年〜1983年)の代表作。『ガラスの動物園』(1945年ブロードウェイ初演)に続く作品で、1947年、エリア・カザンの演出、ジェシカ・タンディのブランチ役、マーロン・ブランドのスタンリー役によりブロードウェイで初演された。陰影に富む優れたテクストとアクターズ・スタジオ出身の俳優によるリアルなメソッド演技が、驚きと賞賛をもって観客に迎えられ、大ヒットを記録。その年のピューリッツアー賞他多くの賞を受賞した。1951年にはエリア・カザン監督、ヴィヴィアン・リーのブランチ、マーロン・ブランドのスタンリーで映画化され、アカデミー賞4部門を獲得した。その後、世界各国で今日に至るまで繰り返し上演されており、日本では、文学座において、長く杉村春子がブランチを演じ、また劇団民藝で奈良岡朋子、青年座で東恵美子、俳優座で栗原小巻、と各劇団の看板女優が主演するなど、日本の新劇の代表作品とも言える作品だった。近年は新劇の枠にとどまらず、浅丘ルリ子、大竹しのぶ、樋口可南子らが主演し、またテネシー・ウィリアムズの遺族から特別に許可された男優・篠井英介もブランチを演じるなど、様々な形で上演が続けられている。またブランチ役だけでなく、スタンリー役も、北村和夫、西田敏行、内野聖陽、堤真一、古田新太ら、当代きっての男優が演じており、寺島しのぶ、七瀬なつみが演じたステラ役の配役も常に注目を集めている。作品を作る側にとっても、観客にとっても、『欲望という名の電車』の魅力は色褪せることがない。

松尾スズキが生み出す、今まで見たことのない『欲望という名の電車』

松尾スズキが翻訳劇を演出するのは、大ヒットした、ミュージカル『キャバレー』〔2007年・青山劇場〕に次いで2作目。人間ドラマをくっきりと見せた『キャバレー』は、既存のミュージカルファンの枠を超えた幅広い観客の熱い支持を集めた。今回も、松尾スズキは、『欲望という名の電車』という名作中の名作に、その卓越したイマジネーションをぶつけ、結果として観客をとんでもないところに連れて行ってくれるに違いない。
秋山菜津子のブランチ、池内博之のスタンリー、鈴木砂羽のステラ他のキャストは、ミッチに脚本家・演出家としても活躍するオクイシュージ、スタンリー、ステラ夫妻の隣人には猫背椿、村杉蝉之介、顔田顔彦ら「大人計画」のメンバー、ラストに登場する見知らぬ男(医者)は、漫画家で、松尾スズキと「チーム紅卍」というユニットを組む河井克夫と、松尾らしい顔ぶれとなった。
松尾スズキの『欲望という名の電車』、多くの期待を載せて、いよいよ動き始める。