ミュージカル『おとこたち』の部屋☆覗き見レポート Vol.2

ミュージカル『おとこたち』の部屋☆覗き見レポート Vol.2

2023年2月10日(金)

2014年に初演、2016年に再演され、演劇界に衝撃を与えた『おとこたち』(作・演出=岩井秀人)がミュージカルとなって新たに幕を開ける。音楽を担当するのは『世界は一人』(2019年)に続き岩井とタッグを組む前野健太だ。4人のおとこたちの60年に渡る物語がオリジナルミュージカルとしてどう立ち上がり、どんなふうに観客の前に姿を現すのか。連載第2回目となる今回は、通常のミュージカル制作とはかなり異なる創作の模様をお伝えしたい
 
Vol.1 はこちら!
 

 


 Vol.2<稽古場でのセッションで楽曲が息づく>

 
ミュージカル『おとこたち』全体稽古3週目。スタジオに入ると、出演者ほぼ全員が私服からジャージ姿になっていた。聞くと2週目から粗い立ち稽古も始まっているらしい。え、早くない?蜷川組なの?いや、蜷川さんは稽古場でのジャージ着用を良しとしなかったから違うか(そこじゃない)。
 
この日は動きなどを整理するため稽古前半では粗く立ち、後半で音楽部分を含めてのテーブル稽古を行うとのこと。作・演出の岩井秀人と、本番でも演奏を担う佐山こうた(ピアノ)、種石幸也(ベース)の近くに俳優たちが集まり本読みが始まった。
 
全体稽古初日では台本に書かれた歌の部分が「詩」として語られていたが、3週目に入ったこの日は「詩」が「歌」として歌唱される場面もあった。いや、ミュージカルなんだから当り前だろう!とのツッコミもあろうが、ここが本作『おとこたち』のひとつの肝。つまり、稽古前から出来上がっているナンバーを除き、俳優とミュージシャン、岩井とのセッションにより稽古場でも劇中の楽曲が創作されるということだ。
 
……と、サクっと書いたが、これはオリジナルミュージカルの制作手法としてもかなり珍しい。ましてや互いの自宅の鍵の隠し場所まで知っている劇団内での創作ならともかく、出身もバックボーンも違う出演者とミュージカルを初めて世に送り出す演出家がこの過程に挑むのである。ということで、おもに音楽部分におけるディスカッションを挟みながら本読みは進む。
 
特に時間をかけたのが山田(ユースケ・サンタマリア)と純子(大原櫻子)のシーン。交差しそうで交わらないふたりの想いと現在とを「歌」と「言葉」でどう表現すればいいのか、皆で意見を交換し、実際に歌ったり語ってみたりしながら探っていく。この場面、もしかして岩井は『ミス・サイゴン』の「I Still Believe」後半部分のような構成にしたいのかとも思いつつ、まったく違う気もする。そんな中「ユースケさんのラップですけど……」と岩井が発した瞬間、「あ、今、“ラップ”って言いましたよね」「言った、言った!罰金100円!」と楽しそうな声があちこちであがった。どうやらこの稽古場で“ラップ”はNGワードらしい。理由は「なんかアメリカっぽくなっちゃうから」で、言い換えワードは「リズム言葉」だそう。“ラップ”1回で罰金100円。仲良しか。
 
有能かつ自己評価高めのビジネスマン・鈴木(吉原光夫)と妻・花子(大原櫻子)が歌う「愛される資格」は先に楽譜ができているナンバーだ。ふたりが歌いだすとスタジオの空気がビリビリと震える……あれ、ここ帝劇?ちなみに大原櫻子と川上友里は劇中でさまざまな“おんなたち”を演じ分け、“おとこたち”の人生に時に深く、時にふわっと関わる役回り。そんな女性たちから強烈なパンチを浴びる森田役の橋本さとしは「詩」に即興でメロディを乗せ歌い上げ「アドリブ作曲の天才!」と拍手を浴びていた。さらに藤井隆は職人技のような呼吸と間合いで津川の数奇な人生をカフェオレ片手に駆け抜けていく。最高におもしろい。
 
台本を半分程度読んだところでこの日の稽古は終了。稽古が終わってもあちこちでなんとなく雑談が始まるなど、それぞれの距離は確実に縮まっている。岩井に今日の稽古について聞いてみたところ、現時点では「まだ4合目くらい」とのこと。え、むしろ早くない?蜷川組?(だから違う)。
 
これから本格的な立ち稽古が始まれば、それぞれの化学反応もよりビビッドになるだろうとワクテカしつつ稽古場を後にしようとしたら、岩井がピアノを弾きだした。じつは彼のピアノ演奏にも『おとこたち』に関する重要なエピソードがあるのだが、既にオーダーの文字数をかなりオーバーしているので続きはまたの機会に。前回より長くなっちゃってすみません!
 
>Vol.3はこちら!
 
取材・文 上村由紀子(演劇ライター)
大学の演劇科を卒業後、舞台作品や映像への出演、FMラジオDJなどを経て取材の現場へ。幼少時からの観劇本数は約4000本。演劇・ミュージカルの専門家としてTBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界)、『アカデミーナイトG』等のメディア出演や番組監修、トークイベントの構成・司会も多数。
 
 
 

 
 
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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
ミュージカル「おとこたち」
 
公演日程:2023年3月12日(日)〜4月2日(日)
会場:PARCO劇場

脚本・演出:岩井秀人
音楽:前野健太
出演:
ユースケ・サンタマリア 藤井隆 吉原光夫 
/大原櫻子 川上友里/橋本さとし
梅里アーツ 中川大喜
演奏:pf.佐山こうた b.種石幸也
 
 
▼プロダクションTwitter更新中!
ミュージカル「おとこたち」公式Twitter@otokotachi2023

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